核兵器禁止条約実現させたICAN ヒバクシャ国際署名に参加を!  PDF

 ノーベル賞委員会は今年の平和賞をICANに与えると決定した。核に関する平和賞はIPPNW核戦争防止国際医師会議(日本支部代表は横倉日医会長)に続くものだ。
 ICAN=International Campaign to Abolish Nuclear weapons 核廃絶国際キャンペーンは、国際NGOで101カ国468団体(日本では反核医師の会、ピースボートなど7団体)が参加。主な受賞理由は、核兵器使用がもたらす破滅的な人道面での結末を人々に気づかせ、条約に基づく核兵器禁止の実現へ画期的な努力をしたことである。ここにいう「条約に基づく核兵器禁止」こそが、7月7日国連加盟の約3分の2にあたる122カ国の賛成により、国連総会で成立した「核兵器禁止条約」である。
 国際法で核兵器を違法とする条約であり、各国政府の署名と批准が50カ国を越えた後に発効する(9月現在53カ国が署名)。核廃絶を巡る2大潮流は核抑止と人道上の問題であるが、この条約は核抑止論の持つ危険性を認識し、人道上の結末に依拠して、いかなる場合においても、あらゆる核兵器に関連する行為(それには抑止論を構成する開発・実験や使用するとの威嚇も含まれる)を禁止する。
 この条約成立に大きく貢献したのがヒバクシャの存在とその発言である。しかるに唯一の戦争被爆国であるにもかかわらず、日本政府はこの条約に反対し、会議に参加せず、世界中のひんしゅくを買った。欠席した日本政府の机に誰かが置いた「#wish you were here」と書かれた折り鶴の映像は、瞬く間に世界に広がった。この条約の今後の問題は核保有国、NATO、核の傘のもとにある韓国、そして日本などの加入であり、それには各国の市民社会の力が必要である。
 最後に日本政府の条約反対理由の一つ「北朝鮮脅威」について。日本が生き延びるためにはアメリカの核という傘が必要だと主張する限り、同じように自らの生存のために核は必要だと主張する北朝鮮に核を手放せといっても説得力を持ちえない。力に力で対抗する論は悪循環に陥るだけであり、だからこそ世界のすべての核の完全な廃絶だけが、核が再び使用されない唯一の方法になる。これは単なる理想論ではなく、世界がリアリティのある話と考え始めたのである。この12月10日はノーベル平和賞授賞式、それを記念してヒバクシャ国際署名に参加を!

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