患者・医療者ともに暮らしやすく  PDF

総務部会 有井 悦子

 子育ても診療も大事にしたいと1989年に開業し、「子どもの権利条約」に出会いました。それまでは、経過を聴き説明していたのは家族にで、意見表明権と情報の権利に則り、子どもから聴き、養生、治療を説明することにしました。すると、子どもはよく養生し、治癒力に目をみはりました。子どもを主体としてではなく、保護し、与える存在とみていたことに遅まきながら気付きました。
 さて、バスや地下鉄、喫茶店などで聴こえてくるのは医療の話題です。病気に罹り、身体は勿論、こころの苦しさを抱えておられ、その苦しさを医療者の態度や言葉が増幅しています。医療者は患者さんを思い、正しいことを指示的に伝えます。それは、これまでの患者さんの生活信条、生活習慣、疑問、不安に耳を傾けられにくくなっています。来し方を尊重し、変えにくい習慣をどのように軌道修正するか、“ともに考える”という余裕は、なかなか望めません。
 手術の場合はやむを得ないとしても、検査や健診でも、同意書を事務的に渡され、言質の如くサインを求められます。一般の方はどれくらい医学用語を解られるのでしょう。
 昔に較べ、権利を主張される患者さんが増えた印象は否めませんし、訴訟に備える必要もあります。
 その中には、一見判りにくいけれど、大きな生きづらさを密かに抱えてこられた発達症(発達障害)の方々がおられます。
 苦労してこられただけ極端なこだわりや頑固な思い込みがあり、医療者も苦慮します。
 そこで「発達障害があっても普通に受診できるように」と題して社会保険研究会を実施しました。わかりやすく役に立つ講演でしたが、出席者は少なかったので、また企画します。
 「子どもの権利条約」では“最善の利益”が謳われていて、目指していてもそうはいかず、医業から撤退したくなることもあります。
 それでも、当方の2人の外科系主治医は、大変お忙しいのに素振りを見せず、スキを用意して下さいます。穏やかに、専門外の患者の心配を聴いてご説明下さる誠実さに習い続けたいと思います。
 患者さんに丁寧に遇すると診療報酬改定に際し、「こんなに安い医療費では申し訳ない」と患者さんが後押しして下さるでしょうか。

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