医療崩壊懸念する実態調査結果 医療・介護の質向上に資する改定を  PDF

 2018年度の診療報酬・介護報酬同時改定は大きな節目である。第7期地域医療計画と介護保険事業計画、ならびに第3期医療費適正化計画の策定年度に重なり、厚生労働省が、これによって団塊の世代が75歳以上となる2025(平成37)年に向けて、国民一人ひとりが状態に応じた適切なサービスを受けられるよう医療・介護の提供体制の整備を進めようとしているためだ。注目されるのは12月中下旬に内閣が決定する診療報酬の改定率である。
 財務省・財政制度審議会(10月25日)は、医療費の伸びを診療報酬改定のたびごとに2%半ば以上のマイナス改定が必要との方向を打ち出し、大きく報じられた。診療報酬をあげると保険料率の引き上げにつながるとして、国民負担を持ち出してけん制したことが特徴だ。引き続いて翌日の経済財政諮問会議では、7対1病床や医療・介護療養病床の削減、透析医療や調剤報酬の引き下げ、軽度者に対する介護給付外しなどを打ち出す一方で、ICTを活用したオンライン診療の促進を具体的に求めた。財政当局や内閣府から厚生労働省に相次いで診療報酬切り下げの圧力をかけた格好だが、IT活用のように人よりモノ、社会保障よりも成長を重視していることも見逃せない。
 ところが、厚生労働省が11月8日に中医協に報告した第21回医療経済実態調査(医療機関等調査)の結果は衝撃的であった。2016年度の一般病院の損益は全体でマイナス4・2%となり前年度よりも0・5ポイント赤字幅が拡大、医業収益は0・4%増加したが、費用の伸びがそれを上回る0・8%増などである。実質引き下げの診療報酬改定により医療崩壊すら懸念される結果であった。
 出ばなをくじかれた格好になった財務省は直ちに、同調査は「病院全体の経営状況を反映していない」と異例の批判を行った。これに対して、日医の横倉会長が、財務省こそ診療報酬引き下げのためにデータを都合よく使っていると再批判するなど、医療界の反撃が始まっている。協会は権利としての社会保障を充実させる観点から、医療と介護の質向上や医師偏在の是正、医療介護従事者の確保を進めることができる診療報酬改定を求めていきたい。国民と医療界が、力を合わせて運動を進めていくことを重視したい。

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