国の政策反映する医療計画改正の変遷  PDF

 医療計画の根拠法である医療法は1948年に制定された。終戦後、医療機関の量的整備が急務とされ、医療水準の確保を図るため、病院の施設基準や人員基準を規律することを目的としていた。50年に医療法人制度創設、62年の議員立法による公的医療機関の病床規制導入があったものの、全体としては40年近く医療法の性格が大きく変わることはなかった。
 転機は、1985年の法改正による医療計画導入だ。
 厚労省資料は、その意図を次のように簡潔に書いている。「医療施設の量的整備が全国的にほぼ達成されたことに伴い、医療資源の地域偏在の是正と医療施設の連携の推進」。量的整備から偏在是正と医療機関連携へ。今日にまでつながる国の政策がすでに示され、そのツールとして医療計画は導入された。病床過剰地域における開設・増床の中止を勧告する権限を都道府県知事に与えたのもこの時である。以来医療法は、2014年の第6次改正に至るまで、めまぐるしく改正され、より具体的に都道府県内の医療提供体制の枠組みを規定するものへとバージョンアップされ続けてきた。
 2006年の第5次医療法改正では4疾病(がん・脳卒中・心筋梗塞・糖尿病)・5事業(救急医療・災害医療・へき地医療・小児医療・周産期医療)の医療連携が、医療機関名も入れる形で盛り込まれることなった。以降、公のみでなく民間医療機関の役割も実名で計画に書き込まれるようになる。
 その後、社会保障・税一体改革の時期である11年の医療法改正注)では、急性期をはじめ医療機能の強化、病院・病床機能の役割分担・連携の推進、在宅医療の強化が講じられた。この際、精神疾患が加えられ5疾病になり、「指標により、医療資源・医療連携等に関する現状を把握した上で課題の抽出、数値目標を設定、施策等の策定を行い、その進捗状況等を評価し、見直しを行う」=疾病・事業ごとのPDCAサイクルの推進が強化されることになる。
 そして、現在策定作業中の医療計画には14年の第6次改正が反映される。
 一足先に実施された病床機能報告制度・地域医療構想・地域医療介護総合確保基金・地域医療構想調整会議といった新たな仕組みも、医療計画の実効性強化につながるものである。

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