財源論一体の対抗構想構築を  PDF

 続いて、渡邉賢治副理事長から情勢を報告。安倍政権は日本を「世界一企業が活動しやすい国」にすることを目指し、規制撤廃と多国籍企業等の安全確保を自国で担保するための軍事大国化に邁進している。これは、新自由主義改革の主要標的である医療・介護・福祉制度の改革と、根は一つであると指摘。
 医療・社会保障制度をめぐっては、医師偏在対策と医療費の地域差縮減政策が表裏一体で進められ、都道府県単位の提供体制管理が強化されつつある。あらゆる方面から医療費抑制と公的責任の縮小の方向性が打ち出されていると述べ、警鐘を鳴らした。
 こうした国の政策方針に対し、今こそ、財源論を携えた対抗構想が求められていると強調。誰もが公的な医療・社会保障で、幸せに生きられる国としての姿を描いた「新しい福祉国家」構想を、あらためて会員および国民へ提示していく必要があると報告した。
 これを受け、垣田さち子理事長が17年度基本方針を提案。協会は、新自由主義改革による国づくりと、そのもとでの社会保障制度解体を許さず、「社会保障憲章・基本法」制定を求めて、新たな福祉国家への転換を求める運動を継続していくこと。そして、国民皆保険の屋台骨である開業医医療の復権を引き続き追求していくと提案した。
 また、2018年の医療・介護同時改定について、診療報酬、介護報酬は生存権保障の一環として国が国民に提供すべき社会保障施策の根幹だと指摘。患者に必要十分な医療が提供できる診療報酬を求めていきたいと述べた。
 なお、門祐輔代議員からの提案を受け、基本方針の「1.国民皆保険制度を守り発展させる―地域に根付く開業医の正当な評価を」の「医師偏在問題については、安易な上からの配置・管理制度を導入しない」に続けて、「一方で、医療の地域格差の解消は大切な課題であり、実態把握を含め対策を検討する」と追記することとした。
 総会後は、弁護士の安保千秋氏による講演「輝く子ども時代のために」、続いて懇親会が開かれた。
(関連2・4~5面)

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