骨太17 社会保障費の抑制さらに病床機能分化後押しする報酬改定  PDF

 政府は6月9日の臨時閣議で、「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太方針)および、「未来投資戦略」「規制改革実施計画」を決定した。
 骨太方針では、「集中改革期間」の最終年度にあたる18年度も手綱を緩めることなく、社会保障の効率化などの取り組みを進めると明記。「経済・財政再生計画」(15年決定)に掲げた44の改革項目について改革工程表に沿って着実な実行を求めた。社会保障費の伸びを5000億円に抑制することや「工程表」に含まれる患者負担増などの直接記載はないが、折り込み済みということだ。
 18年度診療報酬・介護報酬改定においては、病床の機能分化・連携をさらに後押しするため、報酬水準、算定要件など入院基本料のあり方や介護医療院の介護報酬・施設基準のあり方等を検討するとした。
 また、①地域医療構想調整会議において個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針の策定に向け、2年間程度で集中的な検討を促進②病床の機能分化・再編が進まない場合に都道府県知事がその役割を適切に発揮できるような権限のあり方について速やかに検討③病院の外来受診時の定額負担について選定療養による定額負担の対象見直しを含め検討し、17年度末までに結論④国保の普通調整交付金について、医療費適正化のインセンティブを効かせる観点から地域差に関する調整・配分のあり方を検証し見直しを検討⑤市町村の法定外一般会計繰入れの計画的な削減・解消を促す⑥看護師の特定行為の範囲拡大などを議論し、業務の移管や共同化を推進するとともに複数医師によるグループ診療や遠隔診療支援等のへき地に勤務する医師の柔軟な働き方を支援するなど抜本的な地域偏在・診療科偏在対策を検討―などを列記した。
 薬価制度について、①費用対効果評価の本格導入②全品対象の毎年薬価調査とその結果に基づく薬価改定③新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度は革新性のある医薬品等に対象を絞る等により革新的新薬創出を促進しつつ国民負担を軽減④病状が安定している患者等に対し、医師の指示に基づくリフィル処方の推進を検討⑤20年9月までに後発品の使用割合を80%とし、できる限り早期の達成を目指してさらなる使用促進策を検討―などが盛り込まれた。素案の段階では、長期収載品の保険給付額を後発品の平均額まで下げて超過分を全額患者負担とすることや、長期収載品の薬価自体を後発品の価格まで引き下げることについて検討を求めていたが、調整過程で削除された。

「遠隔診療」次期改定で評価
未来投資戦略

 同時に閣議決定された成長戦略=「未来投資戦略」には、対面診療と組み合わせた効果的・効率的な遠隔診療の実施を18年度診療報酬改定で評価することや、AI利活用についても次期以降の診療報酬改定等での評価を目指すことなどが盛り込まれた。

同時改定は 「国民負担の抑制」 の観点踏まえ
財政審

 これに先立ち財務相の諮問機関である財政制度等審議会が5月25日、骨太方針に向けて建議をとりまとめている。18年度の同時改定については、①賃金や物価に比べて診療報酬本体が伸び続けており、②「国民負担の抑制といった観点も踏まえ、しっかりと取り組んでいく必要」があると主張している。①についてはデータの評価が恣意的と日医が批判。②のような一方的な喧伝にも警戒が必要であろう。

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