円滑な医院継承めざし事前準備はしっかりと  PDF

 協会は、医院継承講習会を3月30日に開催した。講師のひろせ税理士法人代表社員の花山和士税理士から、近年の医院継承の状況を紹介し、形態ごと(個人・法人)の注意点や実際の手続き、廃業の留意点等を解説した。参加者は22人。
 はじめに、医院継承のメリットを以下のように説明した。継承元は、患者の引き継ぎ、従業員の雇用継続が可能になり、安心して引退ができること。所有している土地や建物がある場合は、譲渡・賃貸収入が入り、引退後の安定収入になること。後継者は、ある程度必要なものが揃っていて経営地盤もあり、一からの開業と比べて負担が軽減されること。医師会のスムーズな入会が可能、資金調達の際に金融機関からの評価を受けやすいことなどがある。
 続いて、開業医は年齢が上がるにつれて、引退希望年齢も上がる傾向があると紹介。長年診療を続けていくと、いろいろな思いが積み重なり、引退のタイミングを決断するのが難しくなるため、余裕をもって準備しておく必要がある。
 具体的な検討点として、標榜科目、従業員、薬の分業、電子カルテやレセコンなどの機器、顧問税理士や社労士などの引継ぎを挙げた。開業医に求められるニーズがより多様化・専門化し、医療機関競争が激化してきている中で、診療理念を明確にし、集患対策を検討することが重要とした。
 さらに、継承のパターンはさまざまで、個人の思いも異なるので、どれ一つとっても同じものはないと継承の難しさを説明。親子なら上手くいくとか、先輩後輩の関係が上手くいくというものではない。実際に一緒に診療してみると、後継者との思いが異なることに気づく場合も出てくる。
円満な医院継承は多くないのが現状だが、専門性、患者層の特性など十分にすり合わせし、継承の時期を決める。土地や建物、医療機器、医薬品などは、適正な価格での譲渡・賃貸あるいは贈与することがポイントとなる。適正価格については、専門の仲介業者など第三者に依頼することなどで対応したいとした。
 その他、持分なし医療法人への移行計画の認定制度の延長、事業継承対策としての医療法人化、継承・廃業の実務的な留意点などを解説した。

ページの先頭へ