人の犠牲で成り立つ原発 もうだれも被害者とならないために  PDF

協会は、毎年バイバイ原発きょうと実行委員会との共催で講演会を企画している。今年もメイン集会が開催された3月11日に、映画監督で弁護士の河合弘之氏を講師に迎え、「原発とさよならするために〜日本と原発そして自然エネルギー」をテーマに講演いただいた。参加者は107人。

河合氏は超地震大国である日本でいかに原子力ムラが利権に群がっているのかを図示して解説。この構造を崩さない限り原発をなくすことはできないとした。また、日本は原発を経済問題としてしか捉えていないが、倫理問題としても捉える必要があることを強調し、日常働いている原発労働者の被ばく、原発立地の自治体に電力を運んでいるのではなく、都市部に供給している問題など、人の不幸の上に成り立つ幸せだという認識が必要だとした。
河合氏は弁護士として多くの原発訴訟に関わっており、それぞれの裁判闘争の状況も紹介。以前は勝つことなど考えられなかったが、福島原発事故以降、地裁において原発差止訴訟で勝利している。司法の良心はまだ生きていると語った。そして、電力会社はすべての裁判に勝利しなければならないが、我々はひとつでも勝ち取れれば判例となって残る。どれだけ時間がかかっても「原発を動かさない」の一点で、粘り強く運動していきたいとした。
今後の脱原発の展望として、まずは再稼働を許さない取り組みを展開し、少しでも長く原発を止めること。その間に、自然エネルギーの発展を呼び込むことと説明した。多くの人たちに原発の危険性を訴えるため、映画「日本と原発」「日本と原発 4年後」を撮影したが、自然エネルギーの素晴らしさも訴えなければならないと、3本目となる「日本と再生 光と風のギガワット作戦」を完成させたことを報告した。
小児甲状腺がんにも言及。政府・県はスクリーニングの結果であり、事故との因果関係はないとしているが、この姿勢は子どもたちを甲状腺がんから守る総合的対策の欠如とし、ましてや悪性リンパ腫、白血病、成年発症者への対策がないことを問題視。検査が必要な子どもに必要な健診をと、3・11甲状腺がん子ども健診基金を立ち上げたことを報告した。
最後に、福島原発事故の被災者を支援する運動に邁進するきっかけとなった飯舘村の村民歌を熱唱し講演会を終了した。

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