山科医師会と懇談  PDF

2月9日 山科医師会事務所
自由開業制の堅持は必要

協会は山科医師会との懇談会を2月9日に開催。地区から5人、協会から6人が出席し、「『2018年度に予定される医療大転換』にどう対抗するか?」等のテーマで意見交換を行った。
山科医師会の紀田貢会長は、トランプ米大統領が登場し賛否両論はあったがTPPは吹き飛んだ。米国との個別交渉により結果としてTPPの方がよかったというようなことにならないことを願うとあいさつ。垣田理事長も、医療にとって大事な改定が来年に控えている。しっかり情報を出してもらい、意見を言える機会を作ってほしいものだとあいさつした。
懇談では、山科医師会の出席者から多くの意見が出された。自由開業制に関しては、過疎地等の医師不足は課題としながらも、強制的に配置されてもやる気が出ない上、今後の人口減少を考えると医業が成り立たなくなる可能性がある。国にフリーハンドを与えるのは危険。新規開業を抑制するだけでなく、すでに開業していても廃業を迫られる可能性もある—と自由開業制の堅持を求める意見が相次いだ。
その中で緩やかな適正配置は必要とし、以前の医局制度を評価する意見も出された。また患者のフリーアクセスについては、英国型の人頭制を念頭にしており、患者にとっては受診が二度手間になるにもかかわらず、安価で医療を提供させようとしている等、制限すべきでないとする意見が出された。
これに対し協会は、医師や診療科偏在は自由開業の制限に直結させるべき問題ではなく、住環境等地域全体に対する問題として捉えた政策立案が必要。国が適正配置に関与するということは当該医師らの生活全体をも保障することとなり、かえってコスト増となる。フリーアクセスについても、患者は医療機関を上手に使い分けており、コスト増にはつながっていない。フリーアクセスは制限すべきでないとの考えを示した。
新専門医制度や総合診療専門医については、一旦目指した専門科を途中で変更するといった軌道修正ができないのは問題と制度の欠点を指摘する声が上がった他、受診時定額負担導入が議論されたことや診療報酬での相次ぐかかりつけ医機能の評価を念頭に、専門科に特化した診療所は「かかりつけ医」になりにくい。総合診療専門医を制度化しても患者を紐付けするようなことをしてはいけないとの意見が出された。
協会は、新専門医制度の19領域のうち、臨床検査等4領域を除いて、都道府県ごとにその数を制限すると国は言っており、自由開業制とも関係し得る問題との見解を示した。
京都市の保健センターと福祉事務所の統合については、医師会への正式な説明がいまだにないことが判明。地区からは、医師や課長級以上が本庁に集約される等地域における機能縮小により住民サービスが低下することへの危惧が示された。
最後に戎井浩二副会長が、医療の多難な時代に入って久しいが、変えないといけない部分がある一方、変えてはならない部分もあるとあいさつ。今後も開業医としての意見を国に伝えていくことが必要との認識で一致し、更に意見交換していくことを確認した。

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