主張/魅力ある地域の再生を  PDF

現代の日本は東京一極集中をはじめ、さまざまな格差が拡大している。医療も然りである。

医療資源が大都市に集中し、地方では救急医療体制の不備や専門医療機関の不足のみならず、医療機関自体継承者がなく消滅している。首長の仕事は医師探しだといわれているところもある。
都道府県ごとの保険医の配置・定数の設定や、研修のための専攻医枠の制限による保険医・専門医の地方への誘導、特定地域・診療科での診療従事を医療機関管理者の要件とする等が、医師偏在対策として俎上に載せられている。
希望に沿わない地域、診療科で診療せざるを得ない医師は、地域医療に熱意をもって取り組むだろうか?住民はどうだろう。医師さえいればよいのか?
日本の医療制度は「国民皆保険制度」「フリーアクセス」「自由開業制」「診療報酬出来高払い」に特徴づけられる。医療提供は専ら民間に委ねられ、医師が医療機関を設立し、自ら運営してきた。社会情勢に併せて、医業を展開してきた。
経済の低迷や医療の高度化、高齢社会化で、医療保険財政が厳しくなり、「国民皆保険制度」維持の名の下に、これらが変えられようとしている。
我々医師は「フリーアクセス」「自由開業制」「診療報酬出来高払い」のもと、自らの責任で矜持をもって、地域医療に取り組んできた。地域の一員として生き、随時診療内容、形態を変えてきた。日常診療以外にも、検診や予防接種、校医・啓発活動、行政への協力等、地域のために活動してきた。その結果、2000年には世界保健機関から「総合点で世界一」の評価を受けている。
医師の強制配置は地域医療を知らない者の発想であり、医師のみならず、地域住民にも失礼ではないか。
過疎化が進む地方の住民は、まだ何とか頑張っている。若い世代が将来に見切りをつけ、故郷を去る前に地方を再生させることを最優先すべきである。
最近、地方移住に関心を持つ人が増えてきている。中高年は自然環境、住居環境、医療福祉を重視し、若者は働き口と交通の利便性を重視するという。
国の地方創生、高齢者対策では、Compact City構想や、これを用いたCCRC (Continuing Care Retirement Community)構想があるが、対象となる元気高齢者もいずれ要介護状態になる。介護、看護してくれる人材が必要になる。
今のうちに、若者に魅力のある地方を復活する必要がある。何よりも地方に仕事の場を作ることである。魅力ある地方であれば医師も進んで赴任する。医職住がそろって初めて安心して生活ができる。そのような地方の再生を望む。

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