下京西部医師会と懇談  PDF

1月25日 下京西部医師会会議室

開業形態の変化で揺れる地域医療

協会は下京西部医師会との懇談会を1月25日に開催し、地区から7人、協会から5人が参加した。山下琢監事の司会で進行。安田雄司会長、垣田理事長があいさつし、協会から各部会の情報提供に加え、「2018年度に予定される医療大転換」等を説明した。また、地区から挙げられたテーマ「『自由開業制』『フリーアクセス』と『日医かかりつけ医機能制度』の推進について」「医療介護におけるICTの活用について」「『医療ビッグデータとその活用』と『健康寿命延伸』の問題」も議論した。
最近のモール開業等の増加について地区から、①診療時間や診療日をモール本体の営業時間に合わせることを求められるので、そもそも地区の活動に参加できない②一般的に診療時間の形態も多様化して、夜診をしないところもあり、午後の委員会活動等が困難になりつつある③人口が増加している南西地域では乙訓医師会の地域を含めて開業ラッシュであるが、在宅医療を行わないところが多くなると、マンションへの高齢世帯の入居も多いので対応が困難になる―といった、従来からの地区医師会を中心とした地域医療活動に影響が出始めている状況が報告された。
日医かかりつけ医機能制度について地区からは、「新専門医制度における総合診療専門医への防波堤という気がしないでもない。ただ、現時点ではこのかかりつけ医の資格に具体的な特典があるということではないようだ」「従来からあるかかりつけ医としての総合的な技術をきちんと診療報酬で評価できるのであれば、どの診療科であってもかかりつけ医になることは可能なはずだ。医療費の観点では、高薬価の問題が大きい。そういうところに医療費をかけるのではなく、医師の技術への評価をきちんと行ってほしい。そのため医師自身の研鑽も必要だろう」と、新専門医機構、日医、厚労省とそれぞれの思惑が交錯しながら揺れている「かかりつけ医」の議論について、疑問を呈した。
医療介護におけるICTの活用について、地区からは「診療連携カードでは、インターネットを通じて継続している病名、血液検査結果の一部、薬剤情報、アドバンス・ケア・プランニングもチェックできる。広まっていけば患者さんにとってもメリットが大きい。医療機関側では地区外の病院でも活用が広がっている。特に救急では、初期の情報収集にかかる手間が省けるので現場からの要望は強い。患者さんの登録は1200人を超えた」と、ICTを活用して先進的に診診連携・病診連携を進めている状況が報告された。一方で、「国の進めるICTの活用といえば医療ビッグデータの活用のことであり、特定健診・特定保健指導等のデータなどが営利目的に使われることがあれば目的が違うのではないか」と懸念を示した。
協会からは、通称「医療ビッグデータ法」が今通常国会に提出予定であること等の政府の動きについて情報提供した。

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