京都市は市民の健康守る行政を 市施設の統廃合巡り第3回フォーラム  PDF

協会も参加する京都市3施設の合築方針を考える実行委員会は2月2日、「京都市3施設合築方針を考えるフォーラムVol.3」を京都市中京区の京都アスニーで開催、57人が参加した。司会はNPO法人福祉ひろばの池添素氏。冒頭、渡邉賢治副理事長が主催者あいさつに立ち、京都市児童福祉センター・京都市こころの健康増進センター・京都市地域リハビリテーション推進センターの「3施設合築」の背景には、自治体を経済成長の道具にしようとする国家戦略がある。市の方針転換を目指したいと述べた。

市のあからさまな産業化政策

続いて、京都大学の岡田知弘教授が「公共サービスの市場化と公共施設の統廃合政策―3施設合築の背景―」をテーマに記念講演。合築問題は国の「地方創生」戦略や公共サービス市場化政策の一環として生じており、安倍政権の「地方創生」政策が、地方創生総合戦略づくりを進め、重点分野に「移住」「雇用」「子育て」「地域間の連携」とともに「行政の集約と拠点化(拠点都市の公共施設・サービスの集約)を掲げていることを紹介。総務省は「公共施設等管理計画」を自治体に求め、財政措置も行い、公共施設の「除去」「集約化・複合化」「転用」へ誘導している。住民と現場の声を尊重した計画と整備・運営方法が求められること。他の分野における公共施設、公共サービスの産業化政策に対する運動との横断的連携が必要と強調した。

医療・福祉の保障は市民の権利だ

続いて、実行委員会が基調報告。市リハセン附属病院廃止から始まった今回の問題は、京都市の「観光集客行政」と「資産有効活用」方針が根底にあり、医療・福祉を保障する公的責任に背を向け、福祉観・人権感覚・子ども観に疑問符のつく市の特異性を分析する必要性を強調。3施設合築を立ち止まらせ、本当に子どもの育ち、障害のある人たちの権利保障のために市がなすべきことは何かを考えさせたいと訴えた。
「現場からの報告」では、こどもたちの保育療育をよくする会の市原真理氏が、障害児相談支援事業が創設され、障害児通所支援への民間事業者参入、放課後デイサービスが次々に誕生する状況の下、子どもの発達を保障し得る療育の質が問われていると指摘。また、市リハセンの看護師である一条壮彦氏は、附属病院廃止後、医療職が医療に直接かかわれない状況を報告。京都市職員労働組合の永戸有子氏は、福祉関連の公務職場の縮小・廃止問題の経過を、保健師の井上淳美氏は、「子ども若者はぐくみ局」創設をめぐる状況を報告。各区の保健師業務が細分化され、必要な人員が確保できるのか、危惧を表明した。

市は自治体としての存在意義見直しを

フロアからは垣田さち子理事長も発言。こうした実情が京都市会でなぜ問題にならないのか。本日のフォーラムのように公務の現場の方々が、市民の立場から声をあげてもらっていることに頼もしさを感じていると述べた。
最後に採択したアピールは次のように結ばれている。
「どれだけ観光客が増えても、京都市に暮らす子どもたちや、ケアを必要とする市民が蔑ろにされるならば、その都市に未来はなく、その行政に存在意義はありません。京都市が、地方自治体として、本来何をしなければならないのか。そして、何を守らなければならないのか。地方自治体とは何のために存在するのか、一度立ち止まって、考えてほしい」。

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