遠隔診療などで活発に意見交換 京都府薬剤師会との懇談会開く  PDF

 協会は1月12日、京都府薬剤師会との懇談会を開催した。京都府薬剤師会から4人、協会から8人が出席し、京都府薬剤師会の茂籠哲専務理事の司会で進められた。冒頭、同会の宇野進副会長は、「昨年の改定は厳しいものであった。来年の改定もさらに厳しいものになると予想される。協会と定期的に情報交換し、意見交換することは患者に良い医療を提供していくうえで重要だと考えている。忌憚のない意見交換を行い、実りある会にしたい」とあいさつした。懇談では、薬剤師会から①後発医薬品の使用促進②健康サポート薬局について―。協会からは①遠隔診療における投薬の問題について②高額薬価薬剤について―を議題として意見交換を行った。

後発医薬品の使用促進について

 厚労省は後発医薬品使用割合の目標を2020年末までに80%としている。協会けんぽの資料によると京都の後発医薬品使用割合は全国40位64・6%であり、後発医薬品の使用があまり促進されていない。今回の改定で薬局の後発医薬品調剤体制加算の施設基準が厳しくなり、使用割合の値が引き上げられている。オーソライズドジェネリック(先発メーカーが特許の使用権を後発品メーカーに与えて製造される原薬、添加物、製造方法まですべて完全に同一な後発医薬品)もあり、ジェネリックに対する意識を変えていかないといけない状況になっていると薬剤師会の考え方を示した。

健康サポート薬局について

 健康サポート薬局は地域包括ケアシステムの中で出てきたものであり、調剤報酬とは関係ないものである。健康サポート機能として、特定健診等の受診勧奨、認知症を早期発見して連携機関や専門医やかかりつけ医につなぐ、自分で健康を保持しようとする人にスイッチ化された医薬品等の助言をすることや、他職種にいかにつなげていくか等、地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援していくことが求められている。厚労省は2025年までにすべての薬局を「かかりつけ薬局」に、日常生活圏域に一つ以上の「健康サポート薬局」を設けていくこととされていると説明した。
 これに対し、協会から、自分で血液検査をしてスイッチOTCによるセルフメディケーションや健康食品の販売が想定されているのではないかとの懸念を示したところ、京都府薬剤師会のスタンスは、自己測定のHbA1cが高い人に健康食品等を売るような薬剤師はいないと思われるし、健康無関心層の人に受診勧奨することが目的であると回答した。さらに、健康サポート薬局にはかかりつけ薬剤師で一定の研修を受けた者が開局時間は常駐する必要があり、かかりつけ薬剤師が複数必要である。厚労省の委託を受けて、自己測定によるHbA1c測定事業を去年・一昨年と実施したが、検査機器の導入に費用がかかることなどから、継続している薬局はほとんどないと思われると京都の状況を紹介した。

遠隔診療について

 協会は、某企業からのインターネットを用いたオンライン診療のソリューション売り込みに対して、オンライン画面を見ただけで本当に診察できるのか、また、投薬の取扱いとして、院内処方の場合、薬剤を患者に郵送することに対する問題意識を呈した。
 協会事務局が参加した厚労省交渉の席で、医政局は、医療法上、医師法上これを禁止する規則はないと回答しており黙認していると紹介した。薬局の場合、医薬品医療機器等法により、薬剤師が患者に薬剤を渡す際、対面で情報提供、服薬指導することが義務付けられている。薬剤師が要処方せん薬を郵送することは認められていない。従来、個別指導においても薬剤の郵送は認められないと医療機関も薬局も厳しく指導されてきた。にもかかわらず、法律がないから郵送できるとするのは勝手な解釈であり無責任。両会ともに、規定がないなら規定を明確にすべきとした。

高額薬価薬剤について

 薬剤師会としては毎年の薬価改定は困る。最近出てくる薬剤の薬価が高額すぎる。それをもって薬剤費が高すぎると言われても、責任は薬局にはない。在庫量は増えるのに、毎年5%も6%も下げられたのではたまらない。1回の改定で資産価値が相当下がる。高薬価の問題と薬価を毎年下げるというのは問題の解決策として筋が違う。オプジーボのように市場が広がるなら下げるべきだが、すべての薬を毎年改定するのは、院内投薬している医療機関にも影響が大きいと両会は一致した。
 協会が薬価算定組織の議事録開示請求を行ったところ、議事録はないとの回答を得たことを紹介し、あわせて薬価算定過程の透明化など、公正で適正な制度の実施を求めていることも紹介した。

院内調剤と院外調剤での点数格差について

 医療機関の調剤技術基本料と薬局の点数との格差について、同一にすることに対し、薬剤師会としては違和感を示した。
 健康保険法上の取扱いとして、保険薬局の薬剤師は保険薬剤師として登録を受ける必要がある。薬局の薬剤師は近畿厚生局に届出をして初めて保険調剤ができる。病院の薬剤師はその必要がなく、法律上の位置づけが異なり、点数を合わせるというのは少し異なると思う。
 保険薬局には独立した責任がある。診療報酬と調剤報酬という評価の体系が異なると思う。規制改革会議の中でも同様の議論があるが、このような差異について理解がなされないまま議論がなされたように思われるとした。
 両会は今後も継続して意見交換していくことを確認して懇談を終了した。

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