綾部・福知山医師会と懇談  PDF

12月10日 ハピネスふくちやま
在宅神話は国民を不幸にする虚構と一刀両断

協会は綾部・福知山医師会との懇談会を12月10日に開催。綾部医師会から6人、福知山医師会から9人、協会から5人が出席した。懇談会は福知山医師会の古村俊人理事の司会で進行。開会にあたり同会の井土昇会長から「私たち開業医は、社会貢献に日々努めている。大きく動く情勢の中、現状を知り、将来を展望したい」とのあいさつに続き、垣田理事長があいさつした。次に協会から「2018年度に予定されている医療大転換」にどう対応するか等問題提起の後、意見交換に移った。
意見交換では、特に府の地域包括ケア構想中間案に対して活発な意見が地区から出された。福知山からは協会に対し、そもそも病院医療と同じ医療を訪問診療・訪問看護で、在宅患者に提供できるとの認識が間違っている。また、地方は経済力が弱く、所得も少ない中、介護に人手を割かれると収入が減り、貧困化が進む。国単位でのGDPも下がり、景気浮揚マインドも起こらない。医療費を節約する効果もないという論点をパブリックコメントに盛り込むことを求めた。また、在宅医療は非効率で、訪問看護師も高齢化し、医師も現在の需要に応じきれていない。このままいけば、患者も家族も皆不幸になる。国の考えている形の実現は無理だと両断した。綾部からは、病院外科医の立場から、高齢ハイリスク患者は、術後すぐ退院できない問題を提起。病院は地域包括ケア病棟を立ち上げたが、すぐ満床になり、術後患者の行先が確保できない。綾部市はあと数年で高齢化のピークを迎える。急性期病床数は徐々に減っていくだろうが、在宅では手に負えない。地域医療構想は、ベッド数調整だけに終わりそうだ。せめて5疾病5事業の実際的な話を調整会議でしてほしい。医師数が多く減らすとの話だが、勤務医は不足している。偏在が起こる理由を考えてほしい。医師が増えて余るのは、都市部の発想だと指摘した。また、中丹での医療体制、北部でCTPへの対応等もっと突っ込んで議論すべき。医師数は、世界標準から見れば京都でも少ない。綾部市立病院は、医学生を積極的に受け入れ、定着に努力している。地方病院では、いろんな患者を診られるので、研修には最適だと大学にも働きかけ、大学の協力で偏在解消に努めてほしいとした。さらに、診療体制問題の意識改革も大事。最終責任は医師が持つが、嚥下障害患者に対し、看護師、介護職、言語聴覚士等の意見を聞き対応する多職種連携も大切であるとし、患者、家族、地域の人々に何が最適かを考え推進する在宅医療の提案も行われた。その他、かかりつけ薬局とフリーアクセス問題、協会と日医の医賠責保険の関係等について意見交換した。
最後に、綾部医師会の米谷博夫会長が「本日は地域医療構想、在宅医療の育成等問題提起など多岐にわたる貴重な意見交換ができた。我々も今後注目していきたい」とあいさつし、会場を移して懇親を深めた。

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