集個要望に近畿厚生局(京都)から回答も 受療権脅かす運営は問題あり  PDF

協会は11月10日、近畿厚生局京都事務所長宛、京都府における「行政指導の改善を求める要請書」を提出した(2983号既報)。これに対して12月19日付、回答があった。京都事務所長から回答が返されたことは初めて。

内容は、以下の通り。
〔協会の要請〕
1.集団的個別指導について、以下の改善をすること。
①京都市内の日程を複数回とし、貴事務所が通知した指定の開催日において、すでに患者が予約した検査・処置・手術・放射線治療などがある場合は、別の開催日程を案内するようにしてください。
②①の他、年度当初に関係団体を通じて集団的個別指導の日程を公開する、個別に集団的個別指導を行うなど、患者の「療養の給付」を受ける権利を阻害しないよう、改善を講じてください。
〔京都事務所の回答〕
①集団的個別指導については、指導大綱およびその他通知に基づき、各厚生局が統一的に実施しているところです。
「京都市内の日程を複数回」とすることについては、ご要望として承りますが、集団的個別指導を正当な理由により出席できない場合は、京都事務所において改めて日程を設定し、実施しているところです。
なお、正当な理由としては、熊本地震・東日本大震災の医療支援従事者、管理者が入院している等心身の状況に鑑み出席できない場合、指導実施通知前に海外渡航しており指導日までに帰国しない場合、親族等の冠婚葬祭への出席、天災等により出席できない場合等があり、これら以外の理由については、原則として認められておりません。
②集団的個別指導については、上記大綱等に基づき実施しており、指導日の1カ月前を目途として保険医療機関に通知しており、予めその日程を公開する取扱いとはしていないところです。
また、開催日程に関しましては、従前から、保険医療機関から出席できない旨のご連絡があった際には、別の開催日についても案内しているところです。
〔協会の要請〕
2.新規個別指導の目的は、「新規指定から早い段階で、教育的効果を目的として個別指導を実施することにより、保険請求の適正を期するものである」とされていることから、当日の指導で終わるよう懇切丁寧に指導し、むやみに結果を再指導としないでください。
新規個別指導を「対象患者の少ない都道府県個別指導」のように実施しないでください。
〔京都事務所の回答〕
保険医療機関に対する指導については、指導大綱およびその他通知に基づき、各厚生局が統一的に実施しているところであり、療養担当規則等に定められている保険診療の取扱い、診療報酬の請求等について周知徹底することを目的とし、懇切丁寧に指導を行っているところです。
新規個別指導についても、上記に基づき教育的な観点から実施しているところですが、指導の結果、診療内容または診療報酬の請求に関し、適正を欠く部分が認められ、再指導を行わなければ改善状況が判断できないものについては、「再指導」としているところです。

新たな改善点なし

ご覧の通り、回答の中身として、新たに改善された点はない。全国的取扱いを理由として、事前に予約された検査・処置・手術・放射線治療などがある場合も、集団的個別指導の出席を拒否することができないと回答したことは、患者の「療養の給付」を受ける権利を奪う場合もあるため、今後も改善を求めて行く必要がある。
ただし、「京都市内の日程を複数回とすることは要望として承る」としたこと、「従前から、保険医療機関から出席できない旨の連絡があった際、別の開催日を案内している」と明確に回答したこと等、要請の意義はあった。
協会は、集団的個別指導の廃止も含め、今後も改善運動に取り組んでいきたい。

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