医界寸評  PDF

2017年。今年の干支(えと)は丁酉(ひのと・とり)。「丁」は「安定する」の意、「酉」の由来は「果実が極限まで熟した状態」だそうだ▼昨年はオプジーボの「効果」とともに、その「高価」が話題になったが、非小細胞癌と悪性黒色腫の治療に加え、ホジキンリンパ腫に関する効果効能も認められ、この薬品の評価は「安定」し、「熟した」と言えるだろう。まさに今年の干支に相応しいものと思う▼しかし、「効果」は良いのだが、「高価」には考えるべき問題がある。当然のことだが、いくら効果が優れていても医薬品の価格や医療費が患者の負担でき得るものでなければ、皆がその恩恵を受けるわけにはいかないからだ▼現在の国民皆保険制度はこのジレンマを回避し、誰でもが必要な際に必要な治療を受けることができるようにと作られたものだ。現在政府は、国の社会保障費削減を目指し、医療提供体制から医師養成まで、あの手この手で改革を推進している。私たちはこの流れを食い止め、制度が縮小されないように維持し、発展させていかなければならないという気概が必要だ▼もちろん、この努力は誰もが協力して進めなければならないものだが、特に私たち保険医は先人の意図や努力を受け継いでいかなければならない。新年を迎え、「この道を。力強く、前ヘ」と歩もうではないか。(mykonos)

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