下京東部医師会と懇談  PDF

11月9日 ホテル日航プリンセスホテル
地域活性化が偏在解消策の一つ

協会は下京東部医師会との懇談会を11月9日に開催した。地区から21人、協会から6人が出席。下京東部医師会・小畑寛純副会長の司会で進められた。冒頭、木谷輝夫会長から「地区懇アンケートで医師の地域偏在問題について問われたが、その解決策は簡単ではない。果たして自由開業制は継続していくべきなのか、先生方のご意見を伺いたい」とあいさつした。協会から、各部会の情報提供後、「2018年度に予定される医療大転換にどう対抗するか」について話題提供し、意見交換を行った。
地域偏在解消のための医師の適正配置に関して、地区から「保険医定数制の導入が検討されているが、適正配置委員会のような組織をつくり、地域内の医師数や標榜科を誘導するのか」との質問が出された。現時点では、保険医登録を2段階とし、保険医療機関の管理者になるためには一定期間の医師不足地域での勤務を要件とする案などが検討されている。協会は、「これまで国は、自由開業制により医師・地域偏在をなくすとしてきたが、医師の育成や配置を規制して、国のコントロール下に置く改革へ進んでいる」との見解を示した。地区からは、「必ずしも患者の病態を反映しているとは限らないレセプトデータや人口だけを用いて推計した医師数では、適正配置は行えない」との意見が出された。また解決策の一つとして、地区から「僻地等へ医師を派遣するよりも、その地域自体を活性化させ、いわゆる限界集落をなくすことを優先すべき」との意見が出され、協会も「医師を派遣すれば偏在が解消されるわけではない。地域に定着して保険診療を行い、経営、教育、生活を成り立たせていけるよう、魅力のある街づくりも必要」と同調した。
また、京都市で「子ども若者はぐくみ局(仮称)」が創設され、保健センターと福祉事務所の統合が企図されていることについては、約10年前に保健所に勤務していた地区の医師から、「衛生課と母子保健課があり、保健所長の医師の他、薬剤師、放射線技師、保健師等の専門職と事務職がいた。感染症発症の際には、所長、衛生課はもちろん、人手が足りなければ母子保健課も総出で聞き取り調査を行った」と当時の様子を述べた。その上で、「感染症が発生した際、どれくらいの人数が、どういった流れで稼働するのか確認しておかなければならない」など、不安視する声が相次いだ。
協会は「保健センターや福祉事務所で医師が果たしてきた役割は、医師免許を持たない所長が担うことになる。地域での医師の役割は矮小化されるだけでなく、必要な対応が手遅れとなることを恐れている」と述べた。
その他、専門医制度や、保険医年金の予定利率等について意見交換が行われ、閉会した。

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