医界寸評  PDF

 東京都政が築地移転問題と東京オリンピックの設備の問題で揺れている。他の都道府県の自治体のことなので、このことについてはこれ以上言及しないが、報道を見ていて思うことは、役所というところは一度決めたことは絶対に曲げないということだ▼朝令暮改という言葉がある。これは、方針の変更を否定的に言うときに使われる言葉だ。朝令暮改は良くないこと、首尾一貫しているのが良いとされることが多い。しかし朝令暮改と同じような意味で肯定的に言うときには臨機応変という▼情勢の変化により、方針を変更する必要があるのは当然だと思うが、方針を変更するのは立案、推進した人のメンツをつぶして、ひょっとしたらその人のキャリアのキズになるのかなと想像する。もっと邪推して大きな利権が絡んでることまで疑ってしまう。何か問題が起きたとき、個人の責任を追及するのはわが国の国民性かもしれない。またメディアの姿勢もこの一因があるのかもしれない▼医療事故調査制度の発足に際しても、我々は責任追及ではなく、医療の安全、再発防止のための制度となることを要望してきた。政策立案についても、過度な個人の責任追及は今のような風潮を助長するかもしれない。首尾一貫してほしいのは、手段である政策ではなくて国民に対する思いやりであろう。(内)

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