高齢者大学⑤  PDF

身近な耳鼻科疾患で講義

 9月2日、鈴木由一副理事長が「普段よくみられる耳鼻科の病気」をテーマに京都高齢者大学健康講座で講演。
 まず、鼻血の正しい止血法について解説。多くの鼻血は、鼻中隔の鼻入口に近いキーゼルバッハ部から出血することが多いので、指で両側の鼻翼を圧迫し、さらに血液が胃や肺に流れ込んで呼吸困難などを引き起こさないように、必ず前傾姿勢を保つことがポイントであると説明した。しかし、どうしても鼻血が止まらない場合は、生命に危険を及ぼすケースも考えられるので、速やかに医療機関を受診するよう勧めた。なお、粘膜の損傷やそれに伴う細菌感染などの危険性を回避するために、決してティッシュペーパーを鼻に詰め込んで止血しないように呼びかけた。
 続いて、アレルギー性鼻炎について、アレルギーを引き起こす原因物質や症状などを説明。くしゃみをはじめ各種症状が現れた場合は、まずは医療機関を受診し、適切な薬を処方してもらうことが大切であると述べた。その上で、「家の中をきれいに保つこと」や規則正しい生活を送り「体に抵抗力をつけること」など生活環境を整えることも症状改善への重要なポイントであるとアドバイスした。
 さらに、高齢者の難聴と補聴器の話題にも触れ、難聴がもたらす個人的あるいは社会的な悪影響や補聴器の普及率が低い原因などについて説明。高齢者の中には難聴であることを隠そうとする人もいるが、補聴器の装着で情緒の安定や家族との関係改善、あるいは社会活動への参加など個人的あるいは社会的なQOLが改善されるなどの有用性を紹介し、補聴器の活用を促した。また、症状が軽度な時から装着するほどその効果も高いことから、家族から「テレビの音が大きいこと」などを指摘された時は、一度検査を受けることを検討するように述べた。最後に、補聴器の選択方法について、個々人の使用環境と操作能力を十分に考慮し、いろいろと試行錯誤した上で購入することが重要であり、決して見た目や値段だけで安易に購入しないように注意喚起した。
 その他、耳や鼻などに異物が混入した際の対処方法や睡眠時無呼吸症候群の危険性について説明した。
 次回は、10月6日(木)「慢性腎不全について」で名倉良一監事が務める。高齢者大学は、中途入学が可能なので患者さんにぜひお勧めいただきたい。問い合わせは、協会事務局まで。

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