負担増議論スタート 医療・介護で不安広がる  PDF

厚生労働省は参院選直後から医療や介護の負担増議論を社会保障審議会の各部会で本格化させている。すでに検討スケジュールは政府の経済・財政再生計画改革工程表で決められており、医療保険部会は7月14日に、高齢者医療の自己負担について議論を開始。介護保険部会も7月20日から8月末までにすでに3回開催されている。その多くは年末までに結論を得て、法改正を要するものは来年の通常国会への法案提出が見込まれている。
医療の負担増では、外来上限や入院負担上限など70歳以上高齢者の高額療養費制度の見直しと、75歳以上の後期高齢者の窓口負担の見直し(18年度までに結論)について説明が行われた。この日の議論では、世代間の公平性の観点から高額療養費制度の70歳以上の外来特例撤廃や75歳以上の2割負担導入を主張する意見(経団連委員)が出される一方で、後期高齢者の負担を一挙に高くすることに反対(日医委員)とする主張や、低所得者への配慮を求める意見(全国市長会)があがった。今後、かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担導入などについても議論される予定。
介護の負担増では、①要介護度の低い軽度者に対する生活援助や福祉用具貸与および住宅改修の給付の縮小③サービス利用料の自己負担割合を2割とする人の拡大や「高額介護サービス費」制度の上限引き上げ④費用負担(総報酬割・調整交付金等)―等について論点を提示。部会議論での賛否は分かれており、①については地方からも不安が出ており、京都府議会などが意見書を国にあげている。

社会保障費を1400億円圧縮

政府は8月2日の臨時閣議で、17年度予算の概算要求基準を了解した。医療・介護など社会保障費の自然増として、16年度当初予算比で6400億円増までとした。政府は骨太の方針15に16~18年度までの3年間で自然増を1・5兆円(年平均5000億円)に抑制することを盛り込んでいる。年末の予算編成に向け1400億円程度の圧縮が焦点となる。上記のうち、法改正を要しない高額療養費の見直しなどが対象とみられるほか、オプジーボなど高額薬の臨時引き下げも浮上している。

「ストップ!! 患者負担増」署名

協会は、4月から「ストップ!!患者負担増」署名(本紙にも同封)に取り組んでいる。9月中頃に一旦集約して国会に提出するのでご協力いただきたい。

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