日本の医療支える保険医の想い結集を 第69回定期総会で方針等採決  PDF

協会は7月31日、第69回定期総会(第191回定時代議員会合併)を市内のホテルで開催した。総会は、110人(代議員71人、一般会員16人、理事者23人)が出席し、2015年度活動報告および16年度活動方針、決議案を採択した。

15年度協会活動を総括

まず、鈴木由一副理事長が15年度の活動報告を総括。前年度は特に未入会対策を強化し、未入会開業医および勤務医に、協会の事業内容をまとめたパンフレットを携えて訪問を実施するなど、会員拡大に取り組んだことを報告した。
また、会員に寄り添った協会事業を意識して活動してきたことを強調。16年度診療報酬改定に向けて厚労省に是正を求めて取り組んだ結果、「特定疾患療養管理料」の退院後1カ月以内の算定制限が撤廃されるなど、複数の項目において要求が実現したことを報告した。
また、10月に京都で開催される「第31回保団連医療研究フォーラム」へ向け、「新専門医制度」の全体像とその問題の本質を捉えるための連続企画「開業医フォーラム」を開催。更に、厚労省懇談を行い、会員の意見・要望等を伝えた。その他にも厚労大臣による「保険医定数制の導入」や「自由開業制見直し」への言及に対して談話を発表。国による医師への規制強化に異議を唱えた。
一方で、患者負担のさらなる引き上げに対しても、患者署名を中心に取り組んでいることを報告した。

医療壊す国の政策に対峙を

続いて、渡邉賢治副理事長から情勢を報告。
経済財政諮問会議が、社会保障分野での給付削減や患者負担増など44項目における改革の方向性と工程表を示している。16年末までに、さまざまな患者負担増を計画し、また都道府県別、基礎自治体別1人当たりの「医療+介護」費を算出して地域差の是正に取り組むなど、あらゆる手法で社会保障に切り込もうとしていることを指摘。
また、新専門医制度の議論から表面化した医師偏在問題の議論を受けて、「骨太方針2016」に偏在対策の検討が明記された。いよいよ国が「偏在解消」を名目に医師統制に本腰を入れることになると警鐘を鳴らした。
これを受け、垣田理事長が16年度活動方針を提案。今の国の政策は、患者の自己負担を増して受診抑制を導く医療・介護費全体の抑制策だと指摘。我々が日常診療の中で体感する制度の矛盾を明らかにし、制度の見直しを求めて、協会が提唱している「社会保障憲章・基本法」の制定、新自由主義ではなく福祉国家型の国づくりを求める運動を継続して進めていく必要があることを強調した。
さらに、今後進められる「医療制度大転換」で、起こり得るさまざまな事態を会員の立場に立って分析し課題を提起し、患者・国民とともに語り合い、ともに闘える運動を構築していきたい。そのためにも京都の第一線で保険医療を担っている保険医の結集をより図っていきたいとした。
総会後は、京都国立博物館館長の佐々木丞平氏、京都嵯峨芸術大学特任教授の佐々木正子氏ご夫妻による講演会「与謝蕪村・伊藤若冲生誕300年を迎えて」を開催、続いて懇親会を開いた。(関連2・4・5面)

定期総会で2016年度活動方針を述べる垣田理事長

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