医界寸評  PDF

新聞などで医療事故が時々取り上げられる。医師とても神ならざる身なので、予想・判断が外れることは当然ある。これが訴訟に至るのは残念なことで、協会の医療安全対策部会が常に努力している▼だが、ネット上では訴訟例に関して敵意のある意見がよく掲載されており、読み方によっては煽っているように思えることすらある。争うことで真実が見えてくるかどうか?▼議論に関してテーゼ、アンチテーゼという哲学用語がある。弁証法には疎いのだが、命題に対して提出された「反対命題」との議論(葛藤)の中でより高度な「統合命題」を導き出すことだ▼「統合命題」は結論ではない。新たな「命題」だ。哲学なので、具体的な事象の議論ではないかもしれないが、論争はこのような議論の継続によって冷静に行われるべきである。議論を繰り返し検討することに思想・技術の進歩があるのであって、一方的に相手を叩き伏せることで正しい結論が出るのではない▼医師限定参加のネット掲示板でも攻撃的な意見を見かける。そういう論調では最終的にはまともな判断に至らないだろう。医師限定参加のネット上であっても敵意ある議論のやりとりがなされないように希望する。そういう論調が漏れ広がることは、一般の方に正しくない思考を普通と思わせる危険があるのではないだろうか。(mykonos)

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