医師になって27年が過ぎた。経験とともにある程度は腕も上がったと思う。しかし若い先生たちに接してみると、みな自分より優秀そうに見える。しかも体力や気力は間違いなく上である。一体、医師としての能力のピークはいつなのだろう。とっくに過ぎ去ったのか、まだこれからなのか。
「ジャガイモと医者は少しひねた方がいい」と、患者さんに言われたことがある。医者もジャガイモと同じで、できたてよりも時間をおいて熟成させると質が良くなる、という意味である。なかなか上手い言い方だと思う。私も大いに勇気付けられた。
ひねた方が美味しくなるのはジャガイモと医者だけではない。代表的な食材に生姜がある。ひね生姜が新生姜と比べて旨味、辛味とも強いのは皆さんご存じの通りである。
漢方でもこの生姜を使う。「ショウガ」ではなく「ショウキョウ」と読む。
さてこの生姜であるが、実に奥深い。使い方によって薬効が変わるのだ。
生姜を乾燥させて用いると、健胃作用がある。吐き気止めとしても使われる。六りっ君くん子し 湯とうなどに配合されている。
蒸してから乾燥させた生姜は「乾姜」と呼ばれ、体(特にお腹)を温める力がある。大だい建けん中ちゅう湯とうなどに含まれる。
さらに本場中国では「乾姜」を炒って加熱したものを「炮姜」として使用することもある。また、乾燥させない生の生姜も使われる。加工方法は国や地域、時代によってさまざまである。
生薬を加工することを「修治」というのだが、この修治によって目的の薬効を引き出すのが漢方の特徴の一つである。薬理学的にもある程度証明されており、生姜の薬効成分であるジンゲロールは加熱することによりショウガオールに変化し、体を温める作用が強化される。
日本の食文化もこの特徴をよく生かしている。薬味や毒消しとして使われる生姜は生であるし、体を温めたい時は、火にかけて生姜湯にする。白湯を飲みながら生の生姜を齧かじっても体は温まらないのである。
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