宗教上輸血拒否する患者には元高裁判事が医療訴訟の基礎知識を解説 医療安全講習会  PDF

協会は医療安全講習会「万が一の時にそなえて!医療訴訟の基礎知識」を25年11月15日にウェブ併用で開催。講師は元大阪高等裁判所部総括判事・関西学院大学法科大学院教授・弁護士の大島眞一氏。全国の保険医協会・医会会員医療機関も含め83人が参加した。

大島氏は最高裁判所が公表している「医事関係訴訟に関する統計」を用いて医療関係訴訟の現状を説明後、①過失の判断基準②説明義務③エホバの証人④転送義務のおさえておきたい開業医の役割⑤療養方法の指導に関する義務―について判例などを用いて基本的な考え方などを解説した。
特に「エホバの証人」については講演終了後の質疑応答で活発な意見交換が行われた。大島氏はいかなる場合にも輸血を拒否する「絶対的無輸血」の意思については、保護すべき自己決定権と言えるかは争いがあると言及。緊急で直ちに輸血をしなければ死亡を免れないような状況で患者が輸血を拒否した場合については、緊急時には患者は熟考する余裕がないと思われるため、患者の意思は真意ではないと捉えることもできると述べた。また法的にも患者の同意がなくても事務管理(民法第697条)として是認されるとも考えられるため、輸血をしても違法には当たらないのではないかとの見解を示した。また、参加者から「手術に際して輸血に関する同意書の提出を求めているが、エホバの証人の患者からはもらうことは難しい。病院としては同意書なしに手術をすることは避けたいが、同意書を提出しなければ手術はできないと伝えることは法的に問題ないか」と質問が出された。大島氏は「輸血をすることが全く予見できないような手術であれば同意書を取る必要はなく、仮に輸血が必要となった場合でも想定外のため責任を問われることはないと考える。ただ、輸血する可能性が少しでもあれば、同意書は提出してもらう必要があり、同意書がなければ手術ができないと伝えることに問題はないと考える」と回答した。
※本講習会の模様は協会ホームページに掲載しています。院内の医療安全研修などに活用下さい。視聴には会員ログインが必要です。ログイン方法は本紙1面の下部欄外をご確認下さい。

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