地区医師会長と懇談 「皆保険の崩壊を防げ」医療の公的責任を社会の共通認識に  PDF

 協会は9月13日、京都府内の各地区医師会長との懇談会を協会会議室で開催。地区から18人、協会から8人が出席した。「社会保障制度としての『皆保険制度』の意義を再確認する」をテーマに意見交換。皆保険制度の堅持、医療費抑制策の打開を望む声が相次いだ。また、「組織維持に向けた課題」として地域医療を担う医師団体の維持・発展に向けた取り組みを説明し理解を求めた。

 協会からは冒頭「いつでも・どこでも・誰でもが保険証1枚で必要な医療を必要なだけ受けられる皆医療保障型の皆保険体制は保険制度・提供体制の両側面から激しい攻撃に晒されている。我々医療者は患者の生命を守り、必要な医療制度の意義を確認し、その存続と発展を目指して運動を進めていく必要がある」と訴えた。
 地区からは「OTC類似薬が保険適用除外となれば、将来的にインフルエンザやコロナも薬局で完結してしまう恐れがある。ただでさえリフィル処方や長期処方を希望する患者が増え、受診機会そのものが減少している。医薬品の負担が増えるために一般診療が圧迫されるのは本末転倒だ」との意見が出された。
 協会からは「OTC類似薬の保険適用除外は受診控えによる重症化を招く一方で、保険での処方を求める受診が増え、結果として医療費が膨らむ恐れがある。高額医薬品の薬価決定プロセスは不透明であり、透明化を求めている」と回答。同問題で国会議員等に要請を続けていることも報告した。

診療報酬抑制、拙速なDX推進に現場から懸念

 物価上昇に見合わぬ診療報酬の抑制や拙速な医療DX推進など、医療現場の実情に合わない政策が相次ぎ、従事者不足も深刻である。地区からは「地域の医療機関が十分に役割を果たすには物価上昇幅以上の診療報酬引き上げが必要。医療DX推進が拙速で、皆がついていけない。システム対応ができない医療機関は閉院の恐れがある。看護師不足で診療時間を短縮せざるを得ない」との意見が出された。
 協会は「診療報酬改定で昨年6月から診療報酬が実質的に1割程度下がっている。医療DX関連費用は非常に厳しい。実質的に業者に利益を流す政策ではないか。人件費は診療報酬引き上げに直結する問題」と指摘。現場の実情を正しく国民に発信して理解を得て、医療者と国民がともに享受できる医療政策を国に求めるとした。

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