医会寸評  PDF

24年度の赤字の病院は実に70%以上に上るという(四病院団体協議会調べ)。もはや尋常な状況ではない▼先日当選した自民党の新総裁は診療報酬の引き上げなどを主張しており、期待したいとは思う。この新総裁、当選直後に自民党の国会議員らを相手にこんな発言をした。いわく、「ワークライフバランスを捨てる」「馬車馬のように」「働いて働いて働いて」などと言うのである。働かない自民党の国会議員に発破をかけたのかもしれないが、昨今の働き方改革の風潮とは逆行する▼この改革は医師にも適用されているが、うまく現場に馴染んでいるのだろうか。世代間の考え方の違いはあると思われるが、ワークライフバランス、コスパ、タイパが重視され、また医師同士の夫婦では、女性は男性に家事・育児への参加を求め、男性は女性に金銭的に家計を支えることを求めるなどの価値観が台頭してきているように思える▼結果、拘束時間が長く、緊急呼び出しがあり、独り立ちに時間がかかり、訴訟リスクが高いなどの外科医志望者が減少し、初任給が高く、残業・当直のない美容整形・皮膚科に初期研修終了後すぐに飛び込む“直美”が増加するなど、診療科ごとの医師の偏在化が顕著になっている。このような現状をよしとしていいのか。再考してみる必要があるのではなかろうか。(京凡人2世)

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