日本医師会が、2023年度、2024年度分の診療所(医療法人、個人立他)の経営実態を把握すべく2025年6月から7月にかけて「診療所の緊急経営調査」を実施し経営実態を報告した。日医A1会員の診療所管理者約7万2000人が対象で回答率は18・8%であった。
医療法人では24年度の診療所の経営は23年度から大幅に悪化し、医業利益率6・7%から3・2%に、経常利益率は8・2%から4・2%に半減した。個人立診療所の利益率も大きく低下し、経常利益は対前年で19・5%減少したとある。
医療法人の事業所と個人立事業所では収支構造が違う。個人立の利益からは所得税、住民税、社会保険料の支払いが行われることを考慮する必要がある。
また、医療法人、個人立ともに医業利益は全体の45%が赤字で、7割の施設で医業収益が減少し、約6割で医業費用が増加した。この傾向はほぼすべての診療科で見られ、特に発熱外来などに対応してきた内科、小児科、耳鼻咽喉科ではコロナ補助金特別措置の廃止や診療報酬改定による減収が大きく影響した。
多くの診療所で「物価高騰、人件費上昇」「患者単価の減少」「患者減少、受診率低下」を経営課題に挙げている。また「施設設備の老朽化」「近い将来廃業」も課題に挙げていた。診療所の経営は減収減益で厳しい状況に直面しており、地域の患者への医療提供を継続できなくなる可能性がある。次期診療報酬改定で大幅な引き上げが望まれるとまとめられている。
国はこの結果を真摯に受け止め、速やかに物価・人件費高騰に悩む医療機関を支援してほしい。11月から始まる地区医師会との懇談会で会員からの意見をいただき、さらに診療報酬改善等に向けての取り組みを進めていきたい。
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