医会寸評  PDF

自民党総裁選で所得税の「給付付き税額控除」が話題になった。もともと民主党政権が2012年の自民・公明との3党合意下で「社会保障・税の一体改革」で低所得者に対する消費税の逆進性対策として提案したものである▼石破政権下で立憲と自・公で導入に向けて協議することになり、9月25日、立憲の案が出た。食料品にかかる消費税の平均負担額を踏まえ、国民に一律4万円を給付し、年収に応じて給付額を減額する案である▼現行の所得税は所得から給与所得控除、基礎控除、扶養控除等々を控除した課税所得に超過累進税率を掛けるが、税額控除は所得から基礎的なもののみ控除したものに税率をかけ、そこから税額控除する。所得の低い層はマイナスの税となり、給付すれば給付付き税額控除となる▼2019年、日本の所得税改革と題したある大学教授の講演を聞いた。日本の所得税(住民税を含む)の最高税率は高い割には財源調達力が弱く、再分配機能も弱く、諸外国でも所得控除を税額控除にする改革が行われていると。そこで協会は社会保障の充実と財源の在り方を検討し、医療費の負担軽減、年金の増額等々必要な財源20兆円の内、所得税を所得控除から税額控除に変更することで6.4兆円の財源が捻出できる試算を発表した。税収増でも社会保障の充実に使えばいい。(彦)

ページの先頭へ