協会は協力税理士との懇談会を8月7日に開催。税理士の柴田陽一郎氏、廣井増生氏、牧野伸彦氏、公認会計
士の外村弘樹氏、山口美賀氏が出席し、2024(令和6)年分確定申告や医療機関の経営状況などで意見交換した。
確定申告の特徴点では、税理士から「報酬改定により高血圧症などが特定疾患療養管理料の算定対象から外れ、生活習慣病管理料で算定となった内科医療機関が多く、収入は減少傾向」「一方で、他業種の大幅な賃上げの影響もあり、例年以上の上げ幅で昇給した医療機関が多く、賃上げ促進税制の適用が増加した」との報告があった。
当座口振込通知書、年間支払調書のダウンロードについては、多くの税理士事務所から問題はなかったと報告があった。しかし、混乱があったとした税理士事務所では、「ダウンロード形式となってから、多くの医療機関で院長から事務方の管理へと移行し、必要な書類がそろわない事態が発生」「通知書を保存したものの保存先が分からない、ダウンロード方法が分からない、どのシートが必要か分からないなどの状況が散見された」と報告があった。また、混乱の有無にかかわらず、多くの税理士が「医療機関よりダウンロード可能期間が短すぎるとの声が多く聞かれた」と述べた。
今年度の医療機関への税務調査では、税理士から「医療機関への調査は非常に件数が少なく、総じて臨場調査は時間をかけない傾向が見受けられる」「昨年度と同様に、若い調査官・事務官が多く、診療報酬の仕組みを理解していない。そのため、収入項目の調査に時間を要している」と報告があった。
卸業者とのトラブル
納品時は必ず確認を
意見交換では、複数の税理士から「24年12月から開業件数が多かったが、新規開業は患者数の立ち上がりが思わしくない。一方で事業承継の開業は順調に患者数が伸びている」「親子承継もあるが、多くは第三者承継で、売却・買収案件がともに増えている」と報告された。また、医療商材卸業者とのトラブル事案が紹介され、架空納品に気づかずに請求金額をそのまま支払っていたケースが2件発生。事案を担当した税理士が「医療機関に向けて、納品書と現物の照合は必ず行うよう注意喚起してほしい」と述べた。