来年1月から「かかりつけ医機能報告制度」の報告が始まる。すでにガイドラインが発出され、報告項目が示された。承知のことと思われるが、1号機能は従前の標榜科、専門医制度の専門領域分類に準じた枠組みと実際に対応可能な疾患選択である。疾患は外来患者数の多い病名上位40疾患とのことだが、例えば痔疾患専門医院では便秘しか選びようがない(または、その他の自由記載)など偏りがあることが問題である。「医療に関する患者相談対応」が必須要件とされるが、総合的な相談とは限られないようである。2号機能は時間外対応や在宅医療、入退院支援などのいずれかの実績を求められる項目である。
必須項目の最小限の報告要件を満たせば資格があると判定されるが、逆に見れば1科1疾患、1機能の対応で形式的にはともかく、本質的にかかりつけ医と言えるのか疑問が残る。この公表データを見て、患者はどうかかりつけ医を決め、“契約”するのか、複数選択可能かなど不明のままである。
「新たな地域医療構想」では外来機能報告制度にこのかかりつけ医機能報告のデータを追加し(すでに方針化)、全医療機関の詳細な医療実態が把握できる。その「協議の場」は各該当地域(二次医療圏より狭い地域)における医療機能の過剰、不足を検証し、医療機関に行動変容を迫る議論を義務付ける。その基となるデータは方針案を含めて国が示す、となれば実質的には国の采配による医療機関やかかりつけ医の(再)配置を企図するものとなろう。
今回の報告制度の最終目的がかかりつけ医機能を有する医療機関の拡大・普及にあるのであれば、全く異なるアプローチも考え得る。現在日本の開業医体制が、不完全ながら患者のニーズに効率的、安定的に対応できて患者(国民)満足度の高い医療提供体制になっている現状から出発し、例えば現行の「機能強化加算」を初診でなく、慢性疾患を中心とした患者の再診に付け、かかりつけ医としての実際診療を評価する等々、「名目(形式)」でなく「機能(実質)」として普及させやすい方策をこそ目指すべきである。
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