2024年度も会員からさまざまな医療事故に関する報告・相談が寄せられた。
24年度の主な特徴として、①医療事故報告件数は41件で、過去5年間で最多②6医療機関から複数回の医療事故報告があった③紛争原因別では「手術」と「管理」に関するものが最多④医事紛争に関する電話やメールでの相談が80件寄せられた⑤解決率は全事故報告の内97・4%が解決に至っており、依然として高水準を保っている―などが挙げられる。
24年度も医療事故対応に注力しつつ、紛争予防にも積極的に取り組んだ。具体的には、年3回の「医療安全講習会」や「医事紛争対応講習会(保険講習会D)」の開催、医療安全担当者向け「医療安全NEWS」の発信、昨年9月に発刊した『医療訴訟の基礎知識』をはじめとした各種書籍の販売などが挙げられる。
医療安全講習会では、一昨年に発刊した『日常診療における医療安全お役立ち手帳』をテキストに「いまさら聞けない!日常診療における患者対応のあれやこれや」を全2回にわたって開催した。このテキストは協会に特に相談が多かった「カルテ開示」や「患者による録音・録画」「口コミの削除方法」などの事例を厳選し、本紙(第3101号〜・全10回)で顧問弁護士がQ&A形式で解説した内容を再編集したものである。当日は医療安全の啓発を目的に京都の会員に加え、全国の保険医協会・医会員にも案内した結果、合計で351人の参加を得た。当日の質疑応答の様子や協会ホームページでのアーカイブ配信の視聴状況を見ると、今回取り上げたいくつかの事例において多くの医療機関で対応に苦慮されている様子が伺えた。講習会を通じて適切な対応方法を示すことができた点で、紛争予防の一助を担えたのではないかと考える。
医療事故や医事紛争が起こった際に適切な対応ができるかどうかは日々の取り組みの積み重ねが重要と言っても過言でない。会員各位には引き続き日常診療における「安心」と「安全」を守っていただくためにも、講習会をはじめ協会の医療安全に関するさまざまな取り組みを紛争予防に活用いただきたい。
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