石破首相は、夏の参議院選の自民党の公約に国民1人当たり2万円の給付を盛り込むと表明した。物価高対策として、野党が訴える減税は消費税が社会保障の財源となるために慎重な対応が必要と否定し、「現金給付の方が効果的」と訴えている。この発表を受けて共同通信社が行った全国電話世論調査で、反対は54%となった。国民は今回の露骨な選挙対策を見透かしているのであろう。国の財政健全化の目標時期を先送りする一方で、給付金の財源として赤字国債に依存せず、2024年度の税収の上振れ分を当てると説明している。しかしながらその税収増は物価上昇や円安水準の要因が大きく、為替の変動や関税の問題、日銀の利上げを受けて国債の利払いが増えていることを考えれば、借金財政の是正に充てなくて良いのだろうか。令和のコメ騒動をきっかけに減反政策が誤りであったことを担当大臣が認めたが、膨らんだ赤字国債を放置している現状も過去の責任にするつもりかもしれない。
社会保障費削減を目的とした診療報酬政策や物価高騰、人手不足と人件費の上昇などが医業経営に与える影響は大きい。国民に、より良い医療サービスを提供するためには、安定した医業経営が不可欠である。協会は、年金や休業補償、融資などさまざまな共済制度を取り扱っている。毎月1回開催している金融共済委員会は各地区医師会推薦の委員と経営部会担当役員で構成し、会員の立場に立って公平かつ迅速に審議決定を行っている。まさに医師による医師のための共済制度であり、会員にとって有用性の高い制度とするために協会と地区医師会の協力により一つひとつ整備してきた。特に斡旋融資制度は医療機関の設備・運転資金をはじめ子弟教育資金、自由ローンなどを扱っており、4月より金利の引き下げや担保条件の緩和、斡旋手数料の見直しなどの制度改定を実施した。自身の人生設計、医院の経営などに応じて、協会の共済制度をぜひ利用していただきたい。
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