協会は4月5日、京都小児科医会、鳥居薬品株式会社との共催で小児科診療内容向上会を開催。会場とウェブでの併用で79人が参加した(会場21人、ウェブ58人)。参加した山本徹医師のレポートを掲載する。
レポート
山本 徹 医療法人社団淀さんせん会 金井病院
小児科診療内容向上会が4月5日に京都タワーホテルとウェブでのハイブリッド形式で開催されました。はじめに、京都小児科医会の長谷川功会長、京都府保険医協会の鈴木卓理事長のあいさつの辞で始まり、京都府国民健康保険団体連合会審査委員の安野哲也氏から保険点数の留意事項と最近の審査事情についての解説がありました。前者では初診料加算の可否、具体例を含めた適応傷病名の記載の必要性についての説明などがあり、後者ではベースアップ評価料、選定療養の改定に言及されました。
次に、最近のアトピー性皮膚炎と成長障害の治療の進歩についての講演が行われました。独立行政法人国立病院機構三重病院臨床研究部長の長尾みづほ氏から、改定されたアトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024と、小児アトピー性皮膚炎の特徴、外用の指導と実践について概説され、ヤヌスキナーゼ阻害剤デルゴシチニブ軟膏、アリル炭化水素受容体作動薬タピナロフクリームの治療効果について説明されました。ガイドラインでは鑑別診断の重要性、寛解導入維持の治療アルゴリズムが述べられ、小児期の重症度の経年的経過でのフェノタイプの存在が示されました。小児科医にとっては漫然と外用薬を処方するのではなく、近年低年齢でも適応となったデルゴシチニブなどの外用剤の投与を含めて、アトピー性皮膚炎の患者へのより高い目標への啓発と綿密なフォローが肝要であることを再認識しました。
京都府立医科大学小児科助教の杉本哲氏から成長障害の診療のアップデートとして、長時間作用型成長ホルモン製剤の開発と臨床応用について解説されました。従来のほぼ連日の成長ホルモン投与に比べて、週1回にすることでアドヒアランスの改善が期待される一方で、血中動態の変動パターンが非生理学的になることにも留意する必要があるとのことでした。その後プラダー・ウィリ(PW)症候群に対する成長ホルモン治療の適応の拡大と、線維芽細胞増殖因子(FGF)23関連低リン血症性くる病に対するブロスマブの臨床効果について説明されました。PW症候群の治療中は、その多彩な臨床像から副反応に特に注意を払う必要性を、FGF23関連低リン血性くる病の診断にあたっては、小児の血清リンの正常範囲は成人のそれとは異なる点に留意することの重要性を指摘されました。
講演、座長、司会をしていただきました先生方をはじめ、本会開催に関わられた方々に感謝いたします。
講師の長尾氏(上)と杉本氏(下)