医会寸評  PDF

大阪・関西万博が開幕して1カ月が経過した。開幕前には批判的だったマスコミも、今では手のひらを返したように盛り上げ報道に転じているように見える。しかし、国民の反応はいまひとつ芳しくない印象だ。ゴールデンウイーク期間中はさすがに来場者数が増加したようだが、この先どうなるかは不透明である▼1970年の大阪万博や2005年の愛・地球博も、開幕当初は来場者数が伸び悩んだと言われている。とはいえ、今回の大阪・関西万博が今後どう推移するのか。夢洲に建設予定の大阪IR(統合型リゾート)のインフラ整備に国費を引き出すための布石だったのではないかという噂も耳にする。今後の動きが注目される▼観光関連では京都市内に住んでいるとオーバーツーリズムの問題がある。以前は「観光公害」と言われ、現在では「オーバーツーリズム」と呼び変えられているが、現状はまさに「公害」と言っても差し支えないだろう。公共交通機関は常に混雑し、道路もひどく渋滞している。生活圏内の飲食店も混み合い、日常的に利用しにくくなってしまった。かつて「京都の台所」と呼ばれた錦市場も、観光公害の影響で本来の姿を失ってしまったように見える。さらに物価高騰にコメ不足も相まって市民生活に追い打ちをかけている。今後の行政の施策を期待したい。(内)

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