医療安全講習会 診療を断る際の注意点 患者対応を法的に解説  PDF

協会は第2回医療安全講習会「今さら聞けない!日常診療における患者対応のあれやこれや Part 2」を3月1日にハイブリッド形式で開催した。講師は協会顧問弁護士であやめ法律事務所の福山勝紀氏。本講習会では「日常診療における医療安全お役立ち手帳(23年発行)」をテキストに、下記のテーマについて解説し、他府県の保険医協会・医会会員医療機関も含め165人が参加した。
 福山氏は医療機関から相談の多い応招義務について、厚労省の通知を引用し次のように解説した。緊急対応が必要な患者だが診療時間外であった場合の応招義務の考え方について、昭和24(1949)年の厚生省医務局長通知では「診療を拒むことは許されない」と応招義務を広い範囲で解釈していた。しかし、令和元(2019)年の厚労省医政局長通知では「応急的に必要な処置をとることが望ましいが、原則、公法上・私法上の責任に問われることはない」としており、応招義務の考え方が大きく変わった。さらに、患者の迷惑行為について、医師と患者の信頼関係が喪失している場合や支払い能力があるにもかかわらず悪意を持って診療費をあえて支払わない場合には、緊急対応が不要な場合に限り、診療拒否が正当化されると規定している。ただし、診療拒否の事由は医療機関が立証しなければならないため、患者の言動とそれに対する医療機関の対応内容を可能な限り詳細に記録する必要があると注意を促した。
 質疑応答では、患者による院内の器物破損や職員への暴言・暴力があった場合、警察に通報し強制退去させることは可能かとの質問に対し、福山氏はそのような言動があった際は警察に通報し、程度にもよるが、患者に忠告しても改善されない場合は強制退去(退院)させることも考えられると回答した。
 本講習会の模様は「Part 1(24年11月30日開催)」とともに、協会ホームページに掲載しているので、院内の医療安全研修などに活用いただきたい。

講師の福山氏

講習会内容
1 手術同意書はどこまで必要か
2 応招義務
3 未成年者の受診
4 患者による院内の録音・録画
5 スタッフの個人情報の取扱い

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