協会は「人材確保と定着率アップの心得」と題した雇用管理講習会を2月26日にウェブ併用で開催した。講師は桂好志郎社会保険労務士、参加者は18人。
桂氏は24年10月に引き続き、25年10月にさらなる最低賃金引き上げが既定路線だと紹介。最低賃金への対応として、事業主が支払っている雇用保険料を原資とした業務改善助成金やキャリアアップ助成金などを解説した。4月には25年度の助成金概要が示されるため、要件等を確認し、活用できるものは計画を立てた上で活用した方がいいと助言した。
求人を出す際には近隣の医療機関などの賃金相場を確認し下回らないことが大切としつつ、給与面に関しては一般企業と肩を並べるのは難しいと指摘。労働者が重視することを調査したアンケート(日経新聞調べ)では、1位「休暇の取りやすさ」、2位「労働時間の適正さ」という結果を紹介し、求人に関する特記事項に前年度実績の年間休日日数や、すでに育児休業などの取得実績があるなら実績を掲載するなど、自院の強みをアピールすることが必要とした。
「労働時間の適正さ」では、労働基準法上、労働時間の端数切り捨ては認められておらず、残業計算の際の5分単位での四捨五入が違法として大手企業も是正勧告を受けていると説明。基本は1分単位の管理であると注意喚起した。労働時間の把握対策として、タイムカードを管理者の目の届く範囲に設置し、業務終了後は速やかに退勤するよう指導してほしいとした。
従業員の定着には何よりも「安心して働ける職場」で、ハラスメントのない職場だとし、対策の必要性を強調した。「安心して休める職場」は求人だけでなく、定着にも重要と述べ、年5日の年次有給休暇の確実な取得だけでなく、半日単位年休の導入も検討してほしいと締めくくった。
講師の桂氏