国会行動
全国保険医団体連合会は3月13日、全国の保険医協会・医会に呼び掛け国会行動を実施した。「いのちをまもれ!白衣のアピール行動」を衆議院第二議員会館前で行い、高額療養費制度の自己負担上限の引き上げの白紙撤回に向け、患者、医師・歯科医師が思いを訴えた。国会議員9人からの激励もあった。京都協会からは事務局が参加。与野党問わず京都選出の全国会議員の事務所を訪問し、医療法改正法案に対する見解、高額療養費制度改正見直しへの会員署名、先発医薬品(長期収載品)の選定療養の状況の会員アンケートを手渡して要請した。当日は福山哲郎参議院議員、堀川朗子衆議院議員、倉林明子参議院議員と面談した。
福山氏からは医療法改正でオンライン診療が医療法に定義されることについて、過疎地域では医療を受けられる安心につながる面で有益とした上で、どのような要件が必要になるかが重要と指摘があった。タクシー不足の解消策として一般ドライバーが自家用車で乗客を運ぶライドシェアでの安全性の問題を例に挙げ、オンライン診療は十分な安全性の担保が必要とし、慎重に要件等を整備しなければならないとした。
堀川氏は一連の高額療養費の動きについて、今国会で見送りに至ったのは当事者の声が大きな力となったからとし、白紙に向けての第一歩にしたいとした。能登地方の病院統合の問題にも触れ、地元の人からはオンライン診療よりも医師や看護師を求める声しか聞こえてこないと自身の経験を紹介し、本来の医療を守る重要性を指摘した。
倉林氏は高額療養費の問題をはじめとして患者や高齢者などが社会で分断されている現状に疑問を呈した。国会での医療費削減の勢いを問題視し、人権を軽視している医療DX、医業が産業という認識にあるオンライン診療についても危機感を示した。
医療法案の問題点共有し訴え
協会は小泉内閣から始まった都道府県単位の医療費抑制政策の流れは現在でも継承されており、今回の医療法改正が総仕上げとなると見解を述べた。2040年に向けた医療提供体制ではこれまでの地域医療の何が変わるのかが見えにくいが、重要な変更が多く含まれており国会での時間をかけた議論が必要と指摘した。
医師偏在対策では外来医師「過多区域」における新規開業のハードルの強化が盛り込まれ、実質的な開業規制につながるとし、医師数削減では過疎地域の医師不足解消にならないと指摘した。
オンライン診療受診施設は民間企業による開設も認められるため、医療の非営利原則の崩壊につながる可能性、医療従事者の配置基準などは今後検討というあいまいな法案になっているなどの問題を共有した。
高額療養費制度に関しては、会員署名に寄せられた「国民が望んでいる政策か」「患者にとっての命綱」「現場をもっと見てほしい」などの声を紹介し、見送りではなく白紙撤回を強調した。
京都選出国会議員とは今後も面談などを通じて医療現場の窮状を訴えていく。
(上から面談順に)福山・堀川・倉林各議員