協会は協力税理士との懇談会を10月31日に開催。23年分確定申告や最新の税務調査の状況などで意見交換した。出席者は外村弘樹公認会計士、廣井増生税理士、山口美賀公認会計士。
税理士からは「京都でも最近医院のM&A案件が目立ち、売却案件、買収案件ともに増えている。医院経営が軌道に乗るまで3年以上かかることもあり、開業時から一定数の患者を確保できるM&Aに魅力を感じる医師が多いのではないか」との意見が出された。一方で悪質な仲介業者も散見されるため、慎重な見極めが必要だとした。
収入はコロナ前の水準に
税務調査は確実に増加
23年分確定申告では、新型コロナによる収入の増減分がコロナ流行前の水準に戻った医療機関が多いが、整形外科のリハビリ患者は新型コロナで減少して以来、従前の患者数には戻っていないとの報告があった。
医療機関への税務調査は確実に増加しているものの調査歴の浅い調査官が来ている印象で、調査の練習と見受けられるものもあったと指摘。また、京都府内域の小さな税務署では人員が大幅に減少し、京都市内の税務署が広域担当官を設置し対応していることもあり、所轄税務署の区域が曖昧になってきているとの報告があった。
その他、新型コロナワクチンの接種が減少したことなどで課税事業者でなくなった医院が多く、インボイスの影響が減少したこと、最低賃金の上昇や他業種の大幅な賃上げの影響もあり、例年以上の上げ幅で昇給を実施した医療機関が多く見られたなどが報告された。
税務の改善点洗い出しを
協会からは、6月に実施したベースアップ評価料にかかる医療機関の実態調査結果を報告。地区医師会との懇談会で会員から、特定の条件に該当する中小企業等の場合には取得価格が30万円未満の減価償却資産を全額損金算入できる特例に対し、設定金額が低すぎるとの意見があったことを紹介。こうした意見も踏まえて、全国保険医団体連合会と医療機関に関わる税務全般の改善要望を取りまとめられないか検討していると報告し、意見を求めた。
税理士からは、国の政策で予防接種を実施しているのであって、非課税にすべきとの医師からの意見があるなどが紹介された。
活発に意見交換した懇談会