2024年末に社会保障審議会医療部会が開催され、2040年頃に向けた医療提供体制の総合的な改革に関する意見が取りまとめられた。石破内閣はこれを踏まえて今年の通常国会に医療法等の改正を行う方針だ。
新たな地域医療構想は地域医療計画の上位に位置付けられる。病床機能だけでなく病院機能の再編を行う方針とされ、外来機能報告制度(かかりつけ医や在宅医療など)とリンクされる。実質的に厚労省が定める指針によって地域医療計画が縛られることになり、それが都道府県に強制される形だ。
医師偏在対策では「重点医師偏在対策支援区域」や「外来医師過多区域」などを指定し開業や管理者要件に介入する方向が明確だ。これまで曲がりなりにも職業選択の自由、営業の自由を尊重してきたが、「総数の確保から適切な配置」に重心を移すと宣言している。診療報酬による誘導も選択肢として明記されている。
医療DXも新しいステージに進もうとしている。電子カルテ情報共有サービスの法定化、電子カルテ未導入医療機関への標準型電子カルテの普及などが計画されている。社会保険診療報酬支払基金を抜本的に改組し、審査支払い機能は縮小して医療DXの推進母体にする。そのために組織の名称も変更予定である。
物価高に賃金が追いつかない国民生活の苦境、格差の拡大と社会の分断、破綻が懸念される医療機関(とりわけ病院)の経営困難などに目を向けていないことが特徴だ。昨年の総選挙の結果、自公政権は少数与党になり、臨時国会では企業の内部留保が12年連続増加して過去最高となった。その原因が労働分配率の低さにあることが与党からも指摘されたところである。予算委員会の議論では自民党の裏金問題と政策決定の例示として日本医師会が名指しで紹介された経緯もある。
協会は国民目線・患者目線を大切にしながら政策提言を行いつつ、国会議員や京都府など自治体への働きかけを強め、国会での十分な議論を求めたい。保険医の医業と生活を守る道はそこにあり、奮闘したいと思う。
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