輪行:@サイクリングA公共交通機関を使ってサイクリングを始める所まで自転車を持って移動する事(広辞苑第七版)
滋賀県を輪行散歩
滋賀県はサイクリング散歩にお誂え向きです。京都から近いし起伏が少ない。県内には鉄道(京阪電車、近江鉄道、信楽高原鐵道、JR)が網の目に走っていて、意のままに駅で自転車を電車に載せることができる。軽いサイクリングも長距離のツーリングも無理なく可能です。
雨には注意が必要です。湖北の積雪がとりわけ深いように、滋賀の空は京都と同じとは限りません。輪行する者にとって、雨は絶対に困ります。濡れ鼠が濡れた自転車袋を抱えていては、帰りの電車に乗れませんから。
私の雨天対策は簡単です。妙な勇気がいりますが、その日の滋賀行き計画の中止です。当地の天気予報に少しでも雨のニュアンスがある時は、雨具を持参するのではなく、輪行を諦めます。
比良おろしや伊吹おろしがあるので、風向きにも注意です。前もってネットの風向予報を見ておいて、向かい風を避ける方向でコースを組みます。
琵琶湖は周囲が約200q。自転車で一周することをビワイチと言うそうですが、なかなかの距離です。一気に走れるのは若者だけ。何よりもモッタイナイ。小分けにして走ります。
スケッチは湖岸の秋です。間もなくヨシやススキの向こうに各種水鳥が来ます。
湖岸の道もさることながら、湖東の平野にも魅力があります。
「勢田の唐橋/駒も轟と踏み鳴らし/雲雀揚がれる野路の里」(平家物語)
石部、甲賀、水口、日野、八日市。町の標識を読むだけでもうれしくなります。平野が広いので自転車は迷いやすい。
先の10月のことでした。サイクリングの帰途、体力が尽きたので駅まで近道をしようと試みたばかりに田中道に迷い込み、方向感覚を失いました。黄帽の小学生の集団が道いっぱいになって下校していたので、追い越しざまに最寄りのJR駅の位置を訪ねました。一人の男の子が道の間違いを教えてくれました。そして叫びました。
「オイ、みんな一緒に走ろう」
ランドセル組が一斉に自転車に付いて走ってきました。恥ずかしい程ににぎやかになり、体の疲れが吹っ飛んでしまいました。絵はその時を思い出して描いたものです。やっと乗りこんだ東海道線の中で地図を探り、彦根の亀山小学校の子どもたちだったと知りました。
題の絵・挿絵も筆者
湖岸の秋
下校中の小学生と走る