弁護士会と共催で市民フォーラム
現行の保険証存続を求めアピール
医科・歯科の保険医協会と京都弁護士会は10月26日、市民フォーラム「ほんとに大丈夫?マイナ保険証 なくしたらあかんやろ健康保険証」を京都弁護士会館で開催、ウェブ参加も含め125人が参加した。経済ジャーナリストの荻原博子氏が講演し、各分野からも保険証廃止の問題について発言。最後に3団体による共同アピールを採択し、市民の命と健康、そして権利擁護の見地から、現行の健康保険証の存続を強く求めた。(関連2面)
開会にあたり京都弁護士会の岡田一毅会長は、「3団体での企画は初めてのことであり、この由々しき問題に協力して取り組む決意の表れである」とあいさつした。
第1部で講演した荻原氏は、マイナ保険証について、マニュアルには患者は毎回認証するように書かれている、5年ごとに更新手続きをしないといけない、医療機関はトラブル多発で人手を増やさないといけない―デジタル化で便利になるはずがかえって不便になるとはありえないと断じ、事態を悪化させ、多額の税金を使い、なおかつデジタル化の進歩を遅らせた国の罪は大きいと批判した。
一方で、マイナ保険証に登録していない人に交付される資格確認書を被保険者全員に職権で送る意向の自治体が増えており、京都でも実質現行制度と変わりないシステムになってほしいと話した。
市町村は資格確認書の全員交付を
第2部は、各分野から5人が発言。協会の渡邉賢治副理事長は、保険証廃止によって医療保障が「申請に基づくもの」とされたことは社会保障の後退と指摘し、医療を奪わせない取り組みが重要とした。
歯科協会の平田高士副理事長は、マイナ保険証によるトラブル調査結果を報告し、高齢開業医の引退を早めて歯科医療機関の減少に拍車をかけているとした。
障害・高齢施設の現場から井上ひろみ氏(社会福祉法人七野会)は、支援が必要な人にも自動的に届く保険証を残してほしい、福祉現場に負担と責任を押し付けないでと訴えた。
松本隆浩氏(京都社会保障推進協議会)は府内自治体の準備状況アンケート結果で、資格確認書を全被保険者に送付するのは7月時点で3自治体(久御山町、宇治田原町、笠置町)にとどまると報告。
弁護士の松尾美幸氏は、法的立場から 自己情報コントロール権への制限 情報弱者の手続き未了問題が生じる 任意取得の原則に反する―と問題点を指摘した。
閉会にあたり、協会の鈴木卓理事長は法を再改定させるための国会への働きかけと、市町村に資格確認書の全員交付を求めていくと述べて締めくくった。
なお、この日は翌日に投開票が行われる衆院選京都小選挙区候補者への保険証廃止についてのアンケート結果を公表した。
「共同アピール」の趣旨(理由部分は略)
一、市民の命と健康、そして権利擁護の見地から、現行の健康保険証の存続を強く求める。
一、個人番号カード(マイナンバーカード)に保険証機能を付する、いわゆるマイナ保険証への移行はカード所持者の任意によるべきである。
京都府保険医協会・京都府歯科保険医協会・京都弁護士会
講師の荻原氏