協会も参加する「保険で良い歯科医療を」京都連絡会の第7回総会と市民講演会が6月22日に京都経済センターでウェブ併用で開催された。
市民講演会では、「災害時における歯科保健・医療の重要性」について足立了平氏(ときわ病院歯科口腔外科部長、兵庫県保険医協会副理事長)が講演。足立氏は、能登半島地震でもJDAT(日本災害歯科支援チーム)として現地入りするなど阪神・淡路大震災以来の災害支援の経験から口腔ケアの重要性を語った。
阪神・淡路大震災では関連死921人のうち肺炎が24%で最多を占め、心筋梗塞10%、脳卒中9%の順で、高齢者が多いことが特徴。震災関連死の原因として、 大きなストレス 常用薬の紛失や変更による服薬コンプライアンスの低下 脱水 生活不活発病 低栄養などが挙げられる。結果的に高血圧や糖尿病が増加・増悪し、心筋梗塞や脳卒中の増加につながる。
後に、災害時肺炎の多くは口内細菌の増加に低栄養が加わった高齢者の誤嚥性肺炎で、口腔ケアによって発症リスクが軽減できることが分かった。水が不足する被災地では歯や義歯の清掃ができず口腔内細菌が増加するためである。実際に04年の中越地震で組織的な口腔ケアが提供されて関連死に占める肺炎の割合が減少している。肺炎は多くの因子によって発症するため、口という局所的な支援だけでは不十分で服薬指導や生活指導などによる予防も重要であるが、「口腔ケアは命を守るケアである」という啓発を頻回に行っていくことも重要とした。
日本の避難所が国際基準から見て依然として劣悪な状況に置かれていることにも触れ、「困っているから助ける」のではなく、尊厳ある生活を営む「権利の問題」と強調した。