デジタル化問題
専門家任せにせず把握を
結局どうする?
この連載も最後になりました。
電子データ保存の義務化。面倒な話です。カタカナ語を見るだけで拒否反応がある方もおられるでしょう。
悩ましいのは、制度が求める通りに実施するのか、緩和措置で対応するのかです。後者は、税務調査のシーンでは不本意な対応を迫られる可能性があります。「ダウンロードの求め」への対応問題です。電子カルテ情報の扱いも新たな課題です。
まず最低限やらなければならないのは、電子取引データ保存の徹底です。法律が求めるのは電子取引情報をオリジナルのデータで保存することであり、中途半端な対応では税務調査で不利な局面が出ないとも限りません。
保存義務がある電子取引データは、 電子メールで受領したPDFの請求書や領収書 インターネット上でダウンロードした請求書や領収書 請求書発行システムなどのクラウドサービスで受領した請求書や領収書 クレジットカード明細や交通系ICカードなどのスマホアプリでの利用情報 自らが電子メールで送付したPDFの請求書や領収書―などです。
医業の電子化と併せて
現在の医業はデジタル化(DX)と無関係ではありません。
電子カルテへの対応、紙媒体のスキャナ保存も課題でしょう。税務対応とも重複するため、併せて対策を考えるのが効率的です。税理士を含め専門家との相談は欠かせません。
電子データの保存はクリニックの責任になります。税理士に会計・申告業務などを依頼する場合も、税理士任せにはせず、書類やデータの受け渡し方法なども相談しましょう。専用ソフトも用意されていますが、いずれにしても、コストアップは必至です。コストと生産性とのバランスは難問です。
とはいえ、電子保存の義務化は1月から始まっています。待ったなしの状況ですので、優先課題として捉えていただきたいと思います。
(おわり)