2023年5月に新型コロナウイルス感染症(COVID 19)が5類感染症に引き下げられ1年が経過した。十分とは言い難い政策の中、海外と比して感染者数・死亡者数を抑え込めたのは医療従事者と国民の弛まぬ努力の賜物であった。
ところが政府は、国民のためコロナ対応・コロナワクチン接種に奔走してきた医師を手の平を返してもうけ過ぎだと糾弾してきた。各種コロナ関連の補助金が打ち切られ各医療機関が減収となる中、本年6月の診療報酬改定は、賃上げ・物価高騰を十分に鑑みた改定とは言い難い。
本年4月からは医師の働き方改革が十分なタスクシフトもなされぬまま施行され、診療の縮小を余儀なくされた医療機関も出てきており、準備不足は否めない。
政府はマイナ保険証がいまだ6%程度しか利用されていないにもかかわらず、12月に現行の健康保険証を廃止する方針を変えようとしない。一般社会ではあり得ない判断であるが、それを食い止めることのできない現状を見て、医師の政治離れが進み、政府がさらなる愚策を強行してくることが危惧される。
コロナという国難を乗り切った後にも、医療を取り巻く環境は厳しい状況が続くことになる。オンライン資格確認・医薬品の供給不足等、我々は数々の問題を抱えながら日々の診療を継続していかなければならない。
国民の安心・安全な生活を守る国民皆保険制度・医療機関を堅持するため、以下を決議する。
一.今後は物価高騰に対応した、煩雑な事務作業を課さない診療報酬改定とすること
一.保険証廃止を撤回すること。また補助金や診療報酬をぶら下げて医療機関・薬局にマイナ保険証を利用促進させることはやめること
一.働き方改革施行後も従前の医療体制を維持できるようタスクシフトや医師確保の施策を進めること。また自由開業制を守り、医師定数配置や地域別診療報酬導入を行わぬこと
一.国民・医療機関が混乱を来さないように、オンライン資格確認・医薬品の供給不足について、国民に広く分かりやすく説明し、対策を示すこと
2024年7月28日
京都府保険医協会
第77回定期総会
(第207回定時代議員会合併)