実施日:2024年7月28日
対 象:99人 回答数:71人(回答率72%)
2024年6月、診療報酬改定が実施され約2カ月が経過したことを受けて、総会参加者にアンケートを実施した。
回答者の内訳は代議員61%、一般会員14%、協会役員(理事、監事、顧問)25%。回答者の主たる診療科は内科系69%、外科系31%であった。
今次改定で個人的に「痛かった」改定内容(経営を直撃した、減収に直結した、打撃を受けた項目)は何か質問した(複数回答・図1)。最も多かったのは「特定疾患処方管理加算1(18点)がなくなった」で58%、「生活習慣病管理料( )( )の算定要件である『療養計画書』の作成に時間を費やした」54%、「特定疾患療養管理料、特定疾患処方管理加算の対象から高血圧症、糖尿病、脂質異常症が除外された」52%、「処方箋料が1、2、3とも8点ずつ引き下げられた」49%、「特定疾患処方管理加算2が10点引き下げられた」48%、「薬剤情報提供料が6点引き下げられた」41%、「生活習慣病管理料( )( )が月2回算定できない」38%等となっている。
内科系の回答者が7割を占めるため、特処1の廃止や生活習慣病管理料( )( )に関する回答が上位を占めているが、選択肢に挙げた内容は全て、多くの会員にとって痛手となっていることが明らかになった。
その他「慢性維持透析管理料と生活習慣病管理料が併算定できない」「新設の介護保険施設等緊急往診加算に特別な関係にある場合の算定制限がある」ことが痛いとの意見が出された。
「評価できない」
96%
今次改定はプラスの項目もあったが、「痛かった」改定内容と合わせて今次改定をどう評価するか質問したころ、「まったく評価できない」57%、「あまり評価できない」39%、「少し評価できる」3%で、「とても評価できる」はなかった(図2)。
今次改定について主観的に点数を付けるとしたら何点の評価を付けるか質問したところ、平均28点の評価であった(中央値30点、最大値80点、最小値0点)。
次に「改定前と比べて増収になったか減収になったか」質問したところ、「減収」76%、「変わらない」19%、「増収」はなかった(図3)。「減収になった」の回答者に減収割合を質問したところ、平均で11%の減収となった(中央値10%、最大値30%、最小値0%)。
改定前と比べての仕事量や事務的業務量を質問したところ、「増えた」75%、「変わらない」24%、「減った」1%、となった(図4)。
今次改定のおおむねの評価として、多くの保険医に打撃を与え、診療報酬が減った一方で仕事量・事務量は増えた改定であったと言える。
最後に今次改定を行った政府に対する意見を聞いた(表)。憤り、嘆きの声の他、批判的意見が寄せられた。
協会は今回のアンケート結果を厚労三役、中医協全委員、国会議員等に送付して、期中における不合理是正、改善を要請する予定である。
今次改定を行った政府に対する意見
「開業しているのが嫌になった」
●ばかにしてる。
●療養計画書作成手間がかかるが、それが点数に反映されていない。
●改定前の医療経営に対する評価があまりにも恣意的であり、それが正しいかのごとく引き下げに用いていること。
●初再診料、入院基本料など基本診療料のアップを望む。
●ここ10年以上診療報酬はずっと据え置きか、一部マイナスとなっている。これでは質の高い医療を継続するのは困難。
●小手先すぎる。
●次世代の医師達が日本の医療や保険診療への意欲の失わないよう有益な改革をお願いします。
●生活習慣病管理料( )を新設しなければいけない理由が不明で説明されていない。
●患者さんが理解を得られるような説明をお願いしたいです。
●国の経済状況上、医療費削減はやむを得ないと思いますが、手間を増やさないでいただきたい。
●医療費狙い打ち減額はやめるべきだ。
●開業しているのが嫌になった。
●政府が日本の医療を崩壊させていることを自覚してほしい。
●国は賃上げを推進しているが、原資を減らされたのではどうしようもない。国の医療福祉のグランドデザインはどうなっているのか、しっかり説明する義務がある。
●医療機関の存続が難しくなった。
●事務処理を減らしてほしい。
●管理料や管理加算、算定の要件などだんだん複雑でわかりにくくなってきている。
●ベースアップ評価料をもう少しクリアな形にしてほしい。
●診療報酬の引き下げが前提と考えられているのがおかしい。報酬引き上げで経済活性、社会の安心、若者の安心を考えるべき。
●開業医を締め上げる改定。
●手間のかかることばかり増えた。
●総理大臣はじめ国会議員は職責を果たせ。厚労大臣は国民の健康、命を考え発言行動すると基本的な立場で政治を行ってほしい。
●本体の見直し、物価高、機器、建築費用の増加を反映させた改定を。
●財務省主導、削減ありきの診療報酬改定はやめていただきたい。急激な制度変更にならないよう議論を尽くしてほしいと思います。
●現場の声を無視した改定は許容できない。
●不必要でつまらない改定が多すぎる。
●診療以外に時間をとられることが多くなった。決して医療DXは便利ではない。
●今回の改定は、政府の方針に従わなければ経済的損失を受けると脅し、診療に有益でもない事務作業に医師や職員を縛りつけるものとなっています。医療関係者の意欲を削ぎ、患者さんにも不利益をもたらすと考えます。
●ベースアップ評価料など良さそうに見える項目もあるが後日の報告に多大な事務業務を要しとても申請できなかった。
●診療報酬提要は改定でパッチだらけとなり、解読だけでも煩雑で、事務作業が著しく過重となっています。国民である医療者の健康も厚生労働省は考慮していただきたい。
●大事にしている方向性が違う。軍事費が優先ではないはず。子ども支援とのトレードオフすべきではない。子どもも若者も子育ても高齢者も難民もだ。
●やってられません。改定に期待するのは諦めました。
●制度が複雑すぎる。
●このまま財務省主体での診療報酬改定では、皆保険制度存続は医療者にさらなる負担を強いることになり経営困難な医療機関が廃業せざるを得ない!
●保険証は必ず残して下さい。
●インセンティブでマイナ保険証やDXに誘導するようなあざとい改定はやめてほしい。