一層の不合理点数の改善と保険証残せの運動を 協会の役員体制・財政の底上げも 第77回定期総会で方針  PDF

 協会は第77回定期総会(第207回定時代議員会合併)を7月28日にホテルグランヴィア京都で開催。会場と出席者をウェブでつなぐハイブリッド形式で実施した。99人(代議員64人、一般会員14人、役員21人)が出席し、飯田泰啓議長と戎井浩二副議長が議事を進行した。2023年度活動報告と24年度活動方針、決議案を提案し、全て賛成多数で承認、採択された。総会後は講演会、創立75周年に伴う懇親会を開催した。(関連2・3面)

 茨木和博副理事長が23年度の活動を総括した。今次診療報酬改定において、23年6月早々に会員要請署名を開始、厚労大臣に提出するとともに、診療報酬改定をネットでプラスなどを厚労省に改善要請したと報告。
 医療機関でのオンライン資格確認システムでのトラブルが全国で多発しているにもかかわらず、国が健康保険証廃止の政策を進めていることを受け、協会はトラブル事例のアンケート調査を23年8月(第2弾)、12月(第3弾)と実施し、改善されていない実態を確認した。保団連と取り組んでいる「保険証を残せ!」の署名活動は粘り強く継続するとした。
 オンライン資格確認等システムは現場で対応への負担が問題になっているとし、医療DXに関する改善を国に要望。医療情報の連携が患者のためになるよう求めた提言も公表した。
 続いて、渡邉賢治副理事長から情勢を報告。戦争により多くの人が命、生活を奪われている国際情勢に触れ、国内でもコロナ禍の雇用収縮を契機に貧困の拡大、能登半島地震の発生などの命と健康を脅かす危機を克服するため、今の政治・政策・制度の改善に向け全力で運動する必要があると強調した。
 今次改定では、外来医療費の抑制、患者の医療・福祉のニーズに効率的に対応する地域完結型の医療提供体制の構築という国の思惑が込められていると指摘。診療報酬は命と健康を左右するため、医師の知見、中医協の役割が重要とした。
 武見厚生労働大臣が発言した「地域ごとの医師の割り当て」、財務省の「開業規制」「地域別診療報酬」の提言にも触れ、新しい地域医療構想が自由開業から適正配置への契機となる可能性への懸念を示した。
 情勢報告を受けて、内田亮彦副理事長から24年度活動方針を提案。今次改定は多くの医療機関に打撃と混乱をもたらした上、事務的に煩雑なベースアップ評価料は多くの診療所で算定できていない現状を紹介。会員から要望を取りまとめ、不合理点数の是正を図りたいとした。生活習慣病管理料、長期収載薬の選定療養化など、財務省の意向を反映した医療費削減ありきの国の進め方にも問題提起したいとした。
 医療DXの狙いは全国医療情報プラットフォームの構築だが、医療者にとって使い勝手が良いシステムになっていないと指摘。医療者の利活用に特化したセキュリティの強固なプラットフォーム構築を求めたいと述べた。
 マイナ保険証一本化の問題については、現行の保険証も使える体制の維持を求め、10月に開催する京都弁護士会、京都府歯科保険医協会と共催のシンポジウムへの参加を呼び掛けた(下掲)。
 新型コロナ感染が再び急拡大している中、肝心の医療逼迫の根本問題が検証・総括されていないと指摘。医療逼迫の最前線での問題を検証し、後世への教訓を残そうと体験記『コロナ禍の医師たち』を出版したと報告。コロナ禍の経験を将来世代へ受け継ぐことが我々の責務とし、今秋開催予定のシンポジウムで問題を共有したいと述べた。
 最後に、協会活動の裾野を広げるための役員の若返り、物価高騰等が直撃している協会財政の立て直しを図りたいとした。会費の引き上げも検討せざるを得ない状況とし、次回総会で提案したいと述べた。
 総会後の講演会では、「『源氏物語』のおもしろさ」と題して京都先端科学大学教授の山本淳子氏が講演した。参加者は141人。(講演録は後日掲載予定)

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