乗り鉄ドクの趣楽悠遊 vol.23 村上 匡孝(綴喜)  PDF

青の交響曲 近鉄が誇る漫遊の交響鉄(近畿日本鉄道)

 初夏のある日。京都から特急はるかのキティちゃんラッピング電車で大阪の天王寺へ向かいます。今は大阪駅北地下ホームができて地底から環状線に直結するこの線も、元は貨物線。梅田貨物駅(跡)から地面レールを走り、福島辺りの道路を路面電車のように横切るのが見ものだったものです。
 天王寺駅で降りて向かいの近鉄大阪阿部野橋駅に向かうと、10時10分発の「青の交響曲(シンフォニー)」が入るホームは、元気盛りの妙齢の女傑軍団、もとい、大阪のおばちゃん軍団(と思える)方々で盛り上がっていました。
 吉野の美しい山々をあしらったデザインで、歴史・文化・自然や食など沿線の魅力と調和し響き合いながら走る「青の交響曲(シンフォニー)」(写真1・2)。
 車両は3両編成で、前後端の1号車と3号車は座席スペース。2列+1列の幅広デラックスシートと、半分はテーブルを挟んで向かい合うサロン席となっています。真ん中の2号車はラウンジ車両、本や観光資料が揃うライブラリーとバーカウンター兼売店、20席のラウンジ席があります。
 食の面でも、近鉄の南大阪線・吉野線沿線の魅力を伝えようという意欲。地元の名店や酒蔵、ワイナリーのメニューが揃います。
 “軍団”が乗車後すぐに向かう先は2号車のカウンター。人気の「季節のオリジナルケーキセット」は大阪マリオット都ホテルのペストリーシェフ考案の限定名物で、人気店La pecheのマカロンセットともどもすぐに売り切れる人気なのです。
 食事には名物の「大和肉鶏カレー」や柿の葉寿司がありますが、大和肉鶏燻製と葛城高原のモッツァレラチーズをアテに「御所・葛城・橿原の地酒飲み比べセット」を。ヤマトポークウインナーと吉野葛入りごま豆腐をアテに「吉野の地酒飲み比べセット」をチョイスしました。梅乃宿、篠峯雄町、御代菊、やたがらす、猩々、蔵王桜。お猪口一杯ずつで気持ちよく良(了)。終着の吉野駅では外に出て涼風にあたって散歩します。
 列車のコンセプトは“上質に乗って、奈良の懐へ”。
 往きは豪華な電車に乗って優雅な気分で、奈良の懐たる吉野に行きます。
 当方のコンセプトは“上機嫌に酔って、難波の懐へ”。帰りは大阪行きのさくらライナー26000系で、大阪の懐たる“裏なんば”に向かいます。
 今回の推し地酒。八咫烏やたがらす大吟醸 雫酒(北岡本店、吉野町上市、奈良)
(Blue Symphony 2022年6月乗)

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