協会は5月18日、23年度第2回コミュニケーション委員会をウェブ併用で開催。地区委員19人、協会から10人が出席した。「24年度診療報酬改定」で意見交換した。生活習慣病管理料やベースアップ評価料の不合理点や、現行の健康保険証が廃止されることによる現場の混乱を危惧する意見が出された。
開会に際し、鈴木理事長は「マイナ保険証の問題など医療界は政府に良いようにされている気がしてならない。マイナ保険証の利用率が極めて低い中で本当に進めていけるのか。現場を無視した政治の進め方がされているが、変えていけるのは我々現場の声である」とあいさつした。
24年度診療報酬改定で、特定疾患療養管理料の対象疾患から3疾患(脂質異常症・高血圧症・糖尿病)が除外され、6月からは3疾患を主病とする場合は生活習慣病管理料( )を算定することになった。これに対し委員からは「内科系医療機関からは月数十万円の減収になると話が出ている。生活習慣病管理料への移行も療養計画書の作成や患者の同意書が必要になり、手間がかかる」との意見が出された。今次改定で、医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取り組みの一つとして新設されたベースアップ評価料に関しては「内容がとても複雑で何度読んでも理解するのが難しい。事務作業を一人で行っており、かなり負担になっている。算定のハードルが非常に高い」「同法人の事業所間、職種間で分断を生む政策になっており、公平に評価されない非常に大きな問題だ」「医療機関によって患者の自己負担額が変わる。本来は公平であるべき医療費が地域や医療機関によって差が出てしまう」と制度設計自体に疑問を持つ意見が出された。
協会からは「公定価格である診療報酬に差が出ることは問題と認識している。政策誘導的に加算がつき、診療報酬の名の下で患者が負担しなければならない。同法人で差異が生じる問題は中医協で診療側が指摘しておらず、捉え方の弱さがあったことは否めない。ベースアップ評価料は次回改定では外されるかもしれない。加算がなくなったからといって職員の給与を下げるわけにはいかない。慎重な対応が必要ではないか」と回答した。
マイナ保険証の強引な推進に歯止めを
政府は、今年の12月から現行の健康保険証を廃止し、マイナ保険証に一本化を決めているが、4月の利用率は6.56%。政策推進側の国家公務員全体での利用率も5.73%と依然として低い。委員からは「医療扶助やひとり親家庭等医療などが紐付いておらず、結果的に事務作業が多くなっている」「マイナ保険証を持参されずに受診される方が必ずいる。医療現場の混乱が危惧され、資格確認にとても手間がかかる」と現場を無視した進め方に反対する意見が多く出された。
協会は「現行の健康保険証との併用期間を1年と設定しているが、新規ではマイナ保険証しか発行できない。医療機関側の機械の不具合で使用できない場合に、患者の窓口負担が10割になるのは理不尽であり、負担も大きすぎる。今の利用率からしてもマイナ保険証への一本化はあり得ない。従来のシステムを残すよう訴えていきたい」と述べた。