アトピー性皮膚炎治療の基本は外用療法 慢性頭痛は起立性調節障害との関連も 小児科診療内容向上会  PDF

 協会は4月6日、京都小児科医会、鳥居薬品株式会社との共催で小児科診療内容向上会を開催。会場とウェブ配信の併用で98人が参加した(会場19人、ウェブ79人)。参加した高屋和志医師のレポートを掲載する。
レポート高屋 和志(船井)
 はじめに保険点数の留意事項と最近の審査事情の解説が京都府国民健康保険団体連合会審査委員の安野哲也先生(やすの医院)からありました。保険病名の記載や査定と返戻の違いについて説明があり、COVID 19の外来対応医療機関への加算廃止やシナジス投与、小児抗菌薬適正使用における病名の注意などについて話されました。
 講演 は「小児アトピー性皮膚炎治療の実際 デルゴシチニブ軟膏をどう使うか」と題して田中裕也先生(たなか小児科・アレルギー科院長)よりお話がありました。アトピー性皮膚炎は、小児期において集中力の低下、周囲からのいじめの要因、成長障害、感染症等生活する上でさまざまな不利益をもたらします。治療の基本は外用療法であり、スキンケア(洗浄と保湿)と抗炎症外用剤の塗布が重要です。石鹸の泡で洗浄し、しっかりすすぎ、こすらずに押し拭きし、すぐにたっぷりと保湿すること。炎症があれば、適切な強さの抗炎症外用剤をしっかり使うことを説明します。
 抗炎症外用剤では、ステロイド、タクロリムス、デルゴシチニブ、ジファミラストの特徴と使い分けについてお話があり、軽症から中等症の例やステロイド外用剤の継続使用がしにくい例、あるいはステロイド忌避例には刺激感の少ないデルゴシチニブ等の選択肢もあるとのことです。新規外用薬以外では、症状をリセットする全身療法の選択肢(注射製剤、経口薬)についても話されました。
 講演 は、「小児の頭痛」と題して西村陽先生(京都第一赤十字病院小児科・新生児科部長)よりお話がありました。子どもの一次性頭痛のほとんどは片頭痛か緊張性頭痛であり、片頭痛では前兆のない方が多いとのことです。頭部画像検査が有用な二次性頭痛についてはテキストで症例を示されました。
 慢性頭痛の多くが片頭痛であり、起立性調節障害や不登校等との関連も考えて詳細な問診を行い、診断や治療薬の見直しが必要な場合もある。生活状況を確認し、関係機関との連携も重要である。急性期治療はイブプロフェン、アセトアミノフェン、トリプタンが使用される。片頭痛誘因の回避、頭痛ダイアリー等の自己管理で効果がない場合予防薬を考慮する。予防薬には三環系抗うつ薬(アミトリプチリン)、抗てんかん薬(トピラマート)、βブロッカー(プロプラノロール)、カルシウム拮抗薬(塩酸ロメリジン)等を少量から使用する。18歳以上では、CGRP関連抗体注射薬が効果的であることも説明されました。
 診療の基本を学べる有意義な会でした。開催に関わられた方々に感謝します。

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