『べんつうのはなし―排便の悩み解決―』
岩井直躬 著(イラスト:加藤久尚)
京都新聞出版センター発行
2024年1月16日、1,650円(税込)
著者は母校京都府立医科大学の1年先輩で、外科学教授退官後、現在は向日回生病院理事長を引き受け、便通の異常に苦しんでいる患者さんのために「便通異常外来」を開設して、悩み解決に勤しんでおられる。本書の執筆・発行は、その一環とのことである。
昨年に後期高齢者となって2カ月近く過ぎた。私も「後期」が追加の分、日々の疲労感が強くなり、老化促進の状況にある。スクワットなど筋トレして Anti-aging に励まねばと考えていた矢先、本書をお送りいただき早速拝読した。
思えば排便困難で悩んだのは、3年ほど前に一度、あまり便意も感じないのに、いつもの習慣から便座に腰を掛け、シャワートイレで肛門部刺激を始めたら、少しは排便できたがめずらしく残便感が強くあり、早く外出しようとしていた時で焦ったが、排便仕切らないのも気持ち悪く、左手にゴム手袋をはめてキシロカインゼリーを塗り摘便したが量的には多くなかった。以後、直腸にそれなりに糞便が溜まってガスがよく出るぐらいでないと排便運動が持続しないのであろうと反省し、焦らないことにした。その後、少しは賢くなってか、「悩み解決」を要する体質ではないと分かって長らくホッとしていた。
しかし最近ある日、協会の委員会に二つ出て、映画を午前に1本、昼1本、夕方近くに1本計3本観るという趣味的暴挙を決行したら疲れ果て、翌朝は1時間半も遅くにしか目が覚めず、慌ててトーストを焼き、前日は排便がなかったため、「朝一番にコップ一杯の水分を取る」(27頁)とあったのを思い出した。宇治は茶所、玉露の粉茶に冷水を注ぎ、茶カスも薬と一緒に飲用した。「胃・結腸反射」よろしく、軽く前かがみに便座に座って「恥骨・直腸筋が緩む」のが良いともあり(28頁、図6)、必要ないかもしれないが、いつもの習慣でシャワートイレで肛門部刺激を開始して、少し腹圧を加えたらスーッと排便できて爽快であった。即座に快便感を得たい人には26〜28頁の「スムーズに排便するには」が読むには有用であろう。
本書は「快食・快便・快眠」へと導き、健康増進の実現が図れるよう、患者さん向けに分かりやすく書かれてある。我々非専門医にもその全体像が分かりやすく解説されており、現在そんなに悩みの解決を要しない人にとっても、年を経れば消化器系も神経系も老化しますから、有用となる日が必ず参りましょう。便通に悩んだ古人の話も10例記載されていて、二足歩行を開始したホモサピエンスの運命を指し示しており興味深いものがある。では当院の患者さん用に、いま待合室の図書棚に置くところです。先生のところでもどうぞ一緒にご購読を!